「倒産と破産は同じ意味なのだろうか…」
「経営破綻と廃業はどのような違いがあるのだろうか…」
このような疑問はお持ちではないでしょうか?
経営者にとって「廃業」「休業」「倒産」「破産」「経営破綻」という言葉はよく耳にされると思います。
それぞれ意味も手続きも違うものですが、それらをしっかりと覚えておかなければ捉え方によって間違った対応をしてしまう可能性が考えられます。
そこで今回は、上記の4つの特徴と違いについて解説していきます。経営者の方は、今回の内容を参考に、それぞれの違いをはっきり把握しましょう。
廃業とは
廃業とは、会社の経営者や個人事業主が「自主的に」事業をやめることを指します。
大手企業などではあまり起こりませんが、中小企業や個人経営のお店などはさまざまな理由から廃業を選ぶところが多くあります。
その理由として多いのが「経営者やオーナーが高齢化になった」「後継者がいない」というものによる廃業です。株式会社で廃業する場合は、株主総会にて解散を決議する必要があります。
解散が決まったとしてもすぐに廃業になるわけではなく、保有している資産や債権の整理・債務の弁済など多くの手続きがあります。
休業とは
休業とは、事業を「一時的に停止させる」ことであり、事業をやめる廃業とはまったく違うものです。
一時的に停止させるだけですので、手続きも税務署や自治体へ届出を提出するだけで休業することができます。休業している期間は法人税が発生しないため、一時的に事業を休みたいときなどに活用される方法です。
廃業と比べて、手続きが簡単で経営再開を前提としたのが休業と言えます。
廃業と間違えられやすい破産・倒産とは
廃業と間違えられやすいのが、「倒産・破産」です。この2つにも明確な違いがあります。
まずは倒産についてですが、資金不足などに陥ったことで不渡りの手形などが出てしまい、それに伴って銀行との取引が停止し、それ以上の事業継続が不可能になる状態を指します。
因みに、倒産というのは法的に定義があるわけではありません。「〇〇になれば倒産と呼ぶ」という縛りがあるわけでもなく、一般的に使われている言葉なのです。
次に破産についてですが、これは清算を目的とした「債務整理手段」の一つとされています。
債務超過したことによって経営の継続が難しくなった会社が、破産手続きを行うことによって原則的にすべての資産・負債が清算されるのです。
そのため、破産した企業は倒産したと位置付けられますが、倒産した企業は破産していないこともあります。
経営破綻と倒産は同じ意味
倒産と同じように「経営破綻」という言葉もよく聞きますが、実際の意味は倒産とあまり違いはありません。
経営破綻も倒産も債務の返済が滞ることで、会社の経営ができなくなって事業を辞めざるをえないことを指します。しかし、倒産という言葉は社会的にイメージが悪く、「倒産」と記載があるだけで不安に感じる人もいます。
そのため、マスメディアなどでは倒産ではなく「経営破綻」という表現が使われるのです。
まとめ:廃業・休業・倒産・破産・経営破綻の違いについてまとめて解説!
今回の記事をまとめると以下のようになります。
- 廃業とは、経営者が自主的に事業を辞めること
- 休業とは、一時的に経営を停止することで経営再開を前提にしている
- 倒産と破産と廃業はそれぞれの意味がある
- 経営破綻と倒産は意味合いが同じと考えて良い
どれも経営者にとっては耳にしたくない言葉ですが、これらは経営者として覚えておかなくてはなりません。自身の会社が最悪の事態に陥った際にどの道を選ぶかは、その知識の量によって変わります。
経営が順調であっても、会社の出口に関する知識は蓄えていきましょう。