2020.12.14

倒産や事実上の倒産で利用できる未払賃金立替制度!利用者数と具体的な利用方法について

会社が倒産したときの大きな心配事のひとつが、支払われていない給与、いわゆる未払賃金のことです。

支払いの滞った労働者給与は要件を満たしていれば、未払賃金立替制度という公的な保護が受けられます。

今回は、未払賃金立替制度について近年での利用率や利用するための要件、具体的な申請方法について解説していきます。

未払賃金立替払制度はどれぐらい利用されているのか?

未払賃金立替制度とは、会社が倒産した場合に賃金を受け取ることが出来ないまま退職を余儀なくされた従業員に対して、会社に代わって労働者健康福祉機構が賃金の一部を立替払いする制度です。

令和元年(2019年)の立替払い総額は約86億円で対象企業数は1,991件、支給者数は23,992人とされ、前年に比べて対象企業数や支払総額は少なくなっていますが、支給者数は増加しています。

未払賃金立替制度を利用するには

会社が倒産し、「賃金の支払いの確保に関する法律」に基づいて公的機関が立替払いをする未払賃金立替制度の利用方法を見ていきましょう。

この制度を利用するにはいくつかの要件をクリアしている必要があり、適用については定められた範囲があります。

未払賃金立替制度が適用となる要件

未払賃金立替制度を利用するための要件は事業所に関するものと、労働者に関するものがあり、それぞれについては次の通りです。

・事業所に関する事項

  1. 労災事業適用事業所で1年以上、事業を実施していること
  2. 法律上の倒産または事実上の倒産をしていること

・労働者に関する事項

  1. 法律上の倒産申し立て日または事実上の倒産認定日の6か月前の日かから2年以内に退職していること
  2. 未払賃金の額について、破産管財人の証明または労働基準監督署長の確認を受けていること。

以上の要件を満たしていれば未払賃金立替制度を利用できます。

なお、倒産の種類には法律上の倒産と事実上の倒産とがあり、いずれであるかによって要件や必要書類が異なりますので確認の上、手続きなどを進めてください。

未払賃金立替制度の適用範囲

要件を満たした従業員、労働者については公的機関より未払賃金が立替払いされますが、支払われる賃金は全額ではなく、定められた範囲に限定されます。

立替払いの対象となる定められた範囲とは、退職日の6か月前から立替払い請求日の前日までに支払い期日が到来した定期給与と退職金をいい、通勤交通費や賞与は含まれません。

対象となる未払賃金総額の80%が立替払い額(支給額)になりますが、認められる未払賃金総額は対象者の年齢によってその上限額が定められています。

例えば、45歳以上であれば未払賃金総額の上限額は370万円ですので、もし実際の未払賃金総額が400万円であったとすれば、上限額370万円の80%である296万円が立替払い(支給)されるということです。

年齢別の未払賃金総額の上限額は次の通りです。

  • 30歳未満 110万円
  • 30歳以上45歳未満 220万円
  • 45歳以上 370万円

年齢は退職日が基準日になります。

なお、本制度の対象となる従業員の身分はパート・アルバイト、正規・非正規を問いませんが、法人登記簿に登記された役員等は対象となりません。

具体的な申請方法

未払賃金立替払の申請は、法的な倒産であれば未払賃金額について管財人等の証明を、事実上の倒産であれば労働基準監督署長から確認通知書の交付を受けて、それぞれを必要書類と合わせて労働者健康安全福祉機構に提出してください。

その後、審査を経て、立替払いの基準を満たしていれば指定の金融機関口座に入金されます。

<h2>まとめ:倒産や事実上の倒産で利用できる未払賃金立替制度!利用者数と具体的な利用方法について</h2>

会社が倒産して給与が未払のまま退職してしまったときに利用できる未払賃金立替制度について、制度の詳細や具体的な適用基準について解説しました。

給与の未払いは労働者にとって死活問題です。もしもの場合には救済措置が受けられるよう、要件や支払いの方法を確認しておくと安心です。

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