2020.12.23

未払賃金立替払制度を受け取ったときの確定申告について

勤めていた会社が倒産してしまい、給与を受け取れないままになってしまうというトラブルは多くの方が経験しています。

手持ちのお金が不足してしまうと、就職活動をすることも困難になってしまうでしょう。このような事態を防ぐために、国(労働基準監督署・独立行政法人労働者健康安全機構)が倒産してしまった会社から受け取れなかった給与を、立替払いしてくれる制度として未払賃金立替払制度というものがあります。

しかし所得を受け取る以上、税金や確定申告の不安がありますよね。この記事では、未払賃金立替払制度を利用したときに行うべき確定申告について解説していきます。

未払賃金立替払制度で受け取った未払い賃金に税金はかかるのか

立替払された未払い賃金は所得になりますので、税金がかかるはずです。しかし基本的にはほとんどの場合で未払い賃金が課税されることはありません。その理由はなぜなのでしょうか?

未払賃金立替払制度で受け取った未払い賃金は退職所得になる

立替払された未払い賃金は退職所得にあたります。そして、退職所得には退職所得控除という税金の控除制度が設けられているのです。
その計算は下記の通りとなります。

【退職所得控除額の計算方法】

  • 勤続年数20年以下
    40万円×勤続年数
  • 勤続年数20年超
    800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数の端数は、たとえ1日でも1年にカウントします。
※上記の計算式を利用して算出された金額が80万円未満になる場合の退職所得控除額は80万円です。
※障害者になってことに直接起因した退職の場合には、上記の計算で算出された金額+100万円が退職所得控除額になります。

【退職所得の計算方法】

(源泉徴収される前の収入金額-退職所得控除額)×1/2=退職所得の金額

ほとんどの場合の退職所得は非課税になる

先ほどの計算式をいくつかの例に当てはめてみましょう。

  • 勤続3年の場合の退職所得控除額
    40万円×3年=120万円
  • 勤続が10年の場合の退職所得控除額
    40万円×10年=400万円
  • 勤続が30年の場合の退職所得控除額
    800万円+70万円×(30年-20年)=1,500万円

上記から、非常に退職所得控除額の金額が高く設定されていることが分かりますね。
この例からもお分かりになるように、ほとんどの場合は未払賃金立替払制度を利用して受け取った未払い賃金は非課税になるのです。

基本的に未払賃金立替払制度で受け取った未払金の確定申告は不要

未払賃金立替払制度で受け取った所得は退職所得となり、ほとんどの場合は退職所得控除内の金額に納まることが多いということがわかりました。また、年の途中で再就職をし、その新しい会社にて年末調整を受ける場合には確定申告をする必要はありません。

しかし、中には例外もありますので理解しておきましょう。

年の途中で退職し再就職をしなかったとき

年の途中で退職し、未払賃金立替払制度を活用し未払い賃金を受け取った場合で、再就職をしなかったときには、所得よりも給与から源泉徴収されていた税金が多すぎることがあります。このような場合には退職所得を含めて確定申告をすれば、源泉徴収税の還付を受けることもできるでしょう。

まとめ:未払賃金立替払制度を受け取ったときの確定申告について

未払賃金立替払制度を受け取ったときの確定申告について、未払い賃金が課税対象となるかどうかを踏まえて詳しく説明いたしました。

未払い賃金は退職金の位置付けで退職金控除の適用になります。ほとんどの場合は課税対象外となることが多いのですが、自分が課税対象であるかどうかを紹介した計算式で確認してみましょう。

おすすめ関連記事

給与が未払いのまま会社が倒産!未払賃金立替払制度を活用して給与を受け取るには?
未払賃金立替払制度を利用するときに必要な書類と記入方法について
未払賃金立替払制度に税金はかかるのか?受け取った賃金の税金について

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています

会社倒産手続き.comをご覧の皆様へ

会社倒産手続き.comは、倒産〜復活にかけての道標を示すメディアです。経営者が第二の挑戦をすることを前提に、「終わり方」について参考となるデータと情報を提供していき、倒産〜復活のフローに関して、様々な道筋での援助方法ご提案します。

無料相談はこちら