2020.10.29

自営業者が自己破産した際の家族への影響と処分される財産について

自営業は、仕事と家族が密接に関わっているケースも少なくないため、自己破産した後の家族への影響を不安に思う方もいます。それには、自己破産をすると自分だけではなく家族の今後の生活も左右する、というイメージがあるからでしょう。

そこで今回は、自営業者が自己破産した時の財産の扱いや家族への影響について解説していきます。

自営業者が自己破産した際に家族へ影響があるものとないものを知ろう

まずは自営業者が破産した場合における、財産の扱われ方を知りましょう。

自己破産申立てをすると、借金を免責する代わりにお金に換えられそうな財産を回収して換価処分します。(管財事件・少額管財)ただし、倒産・破産した後にすべての財産を回収してしまうと生活が送れなくなりますので、最低限の財産は破産時にも残されます。

財産回収の対象はあくまでも自己破産申立てを行った債務者本人のみであり、法律上、債務者と家族は別で考えられますので家族の財産は守られます。

とはいえ、現実的に影響が出ない面だけでなく影響が及んでしまう面もありますので、どちらも考えておきましょう。

家族に影響がないもの

まず、自己破産後も家族に影響が及ばないものを見ていきます。

  • 家族のクレジットカード
  • 銀行口座
  • 職業選択

家族の財産や信用情報には関係ありませんので、自己破産前に作っていたクレジットカードや銀行口座もそのまま使えます。

そして、自己破産後も家族の信用情報には家族が自己破産したことは記載されませんので、配偶者やお子さんがクレジットカードを作ったりローンを組んだりするのは問題ありません。

また、家族が破産したことで就職が難しくなったり面接で不利に働いたりといったこともありませんので、破産によって職業選択の幅が狭まることはないでしょう。

家族への影響が考えられるもの

一方で、生活面で家族に影響が出ると考えられることもあります。

  • 住宅ローン
  • 保険
  • 連帯保証人である場合

店舗や自宅、車をローンで購入していた場合は、それらの財産が回収対象となります。それにより住むところが無くなってしまい引越しせざるを得ないケースも考えられます。

また、特に自営業の場合は、事務所(店舗)と自宅が一緒になっていることが多く、ビジネス拠点ごと移動しなければならないでしょう。

そして、新たに賃貸で部屋を借りる場合も保証会社の審査に通らない可能性がありますので、家族名義で借りるか自分で保証人を立てる必要があります。

※元々賃貸物件に住んでいる場合は、自身の財産と見なされないためそのまま住めます。

保険も解約返戻金があれば解約する必要がある

保険の契約者が破産申立てをする人であり、その家族が被保険者(補償を受ける人)の場合には、解約返戻金のある保険を解約する必要があります。

しかし、契約者が破産申し立てする人でなければ、解約返戻金の有無に関わらず解約する必要はありません。つまり、破産申立てをする人の財産であるかどうかと、解約返戻金の有無が保険解約に影響してくるのです。

債務者が家族を連帯保証人としてお金を借りていた場合

債務者が家族を連帯保証人として借入していた場合は、家族が借金を返済しなければなりませんので、家族にも影響が及びます。

自営業者が自己破産する前に押さえておくべきポイント

自営業者が自己破産をする前に、押さえておくべきポイントについても紹介します。

  • 売掛金も財産として判断される
  • 職業によって手元に残る財産が変わる

取引先に売掛金が残っている場合、その価値が20万円を超えていると売掛金も財産として扱われ回収されます。

また、仕入れなどではなく業務委託として実質給料のように売掛金を使っているところもあるかと思いますが、このような場合は給料債権として扱われます。

3/4は自由財産として残され、1/4は換価処分と判断され回収されます。

回収対象となる事業用資産

回収対象となる事業用資産としては、以下のようなものがあります。

・機械や設備
・パソコン
・在庫
・自動車
・店舗や営業所、倉庫等不動産(賃借の場合は敷金)
・保証金
・保険
・出資金
・有価証券

一方で、回収対象とならず手元に残せる事業用資産も存在します。

・農業に必要な器具/肥料/家畜/種子等
・水産業に必要な漁具/えさ/稚魚等
・技術者、職人、労務者として仕事に必要な器具等
・公表前の著作や発明

まとめ:自営業者が自己破産した際の家族への影響と処分される財産について

いかがでしたか?今回は、自営業者が自己破産した際の家族への影響と処分される財産をテーマに解説していきました。

自営業者が自己破産をする場合は、会社経営者とはまた違った注意点が必要とされます。

住宅や仕事場の契約形態、自営業の職種などで破産後も手元に残せる財産は異なりますので、申立て前に確認しておきましょう。

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