「固定費と変動費の経費分けが分からない…」
「どちらが固定費でどちらが変動費なのだろう…」
このような疑問はありませんか?
収益や利益の分析のために「固定費」と「変動費」の経費を分ける必要があります。そして、固定費と変動費を分けるための方法として勘定科目法が広く用いられています。
今回は、「勘定科目法の特徴と分析方法」に併せて「業種ごとの分類」について解説していきます。
Contents
勘定科目法の基礎知識について解説
勘定科目法は固定費と変動費を区分するための方法で、名前の通り、勘定科目ごとにその費用が固定費なのか、変動費なのか?を判断していきます。
そして固定費と変動費の区分は、費用分解と呼ばれることもあります。
勘定科目法は科目ごとに区分していくため、経営状態に関わらず精度の高い分析がしやすい特徴をもっています。
ただし、科目によっては固定費・変動費のどちらの要素も持っている場合がありますので、そのようなときには、どちらの要素がより強いかで分類していきます。
間接人員のように、準固定費とも呼ばれるものは中期的な視点が必要となります。
勘定科目法以外にも分類法がある!回帰分析法について
固定費と変動費の分類について、勘定科目法以外にも「回帰分析法」というものがあります。
売上と費用の近似曲線を引き分類を行うものですが、費用のトータルが縦軸、売り上げの数字を横軸にしてグラフを作成します。そして、「ax+b=y」という式で算出するのですが、aが変動費、bは固定費を意味します。
エクセルを使って求めることがほとんどで、勘定科目法での判断が難しい場合などに用いられます。
業種によって固定費と変動費の分類は変わる
固定費と変動費の分類や、それぞれのバランスは業種によっても変わります。中小企業庁が発表している原価指標を参考に、一般的な分類について見ていきましょう。
卸・小売業
卸・小売業の分類から見ていきましょう。
【固定費】
- 人件費
- 従業員の旅費
- 広告宣伝費
- 車両燃料費
- 車両の修繕費
- 保険料
- その他修繕費
- 交際/接待費
- 原価償却費
- 家賃/賃料
- 利息
- 税金
- 福利厚生
- 管理費
- 通信費
- 光熱費
※ 卸売の場合は、保険料・車両燃料費・車両修繕費は50%が固定費となります。
【変動費】
- 売上原価
- 運送費
- 荷造りの費用
- 保管にかかる費用
- 車両燃料費(卸売業の場合)
- 保険料(卸売業の場合)
建設業
建設費の経費の内訳は、以下の通りです。
【固定費】
- 人件費
- 退職金
- 従業員の旅費
- 広告宣伝費
- 保険料
- 事務用品
- 割引費用
- 原価償却費
- 家賃/賃料
- 利息
- 交際費
- 補償費
- 税金
- 福利厚生
- 管理費
- 通信交通費
- 光熱費(管理費の一部のみ対象)
【変動費】
- 材料の費用
- 外注の費用
- 労務費用
- 仮設の費用
- 光熱費や用水(完成工事の費用)
- 運搬費
- 機械や設備にかかる経費
- 設計費用
製造業
最後に製造業についての経費分類を紹介します。
【固定費】
- 直接および間接的の労務費
- 保険料
- 人件費
- 福利厚生
- 旅費
- 交通費
- 運賃
- 貸借料
- 消耗品費
- 広告宣伝費
- 荷造りの費用
- 割引の料金
- 税金
- 販売費
- 研究開発費
【変動費】
- 直接材料費
- 部品費用
- 外注の費用
- 間接的な材料費用
- 重油などの燃料費用
- 仕入れ原価(当期)
- 期末製品棚卸高
- 酒税
まとめ:変動費・固定費は勘定科目法で分類しよう!業種ごとの区分も理解!
今回は、固定費と変動費を分類する方法について解説しました。
勘定科目法は科目ごとに固定費か変動費かを判断する方法ですが、科目や業種によって難しい場合は、回帰分析法を用いるとよいでしょう。
記事終盤で解説した通り業種によっても異なる定義があるので、分析にお役立てください。