経営者がリストラを決断する背景にはやむを得ない事情があるとは言え、リストラされる社員にとってみては、簡単に納得できるようなものではありません。
リストラされてしまえば職を失うだけでなく、明日からの生活にさまざまな不安を抱えることになるでしょう。
そこで今回は、リストラされた社員はその後どうなってしまうのか?をテーマにお届けします。
経営者として、彼らのその後の生活や、人生への影響について知った上で決断しましょう。
リストラの実生活への影響
リストラの影響は、実生活で直面する問題と精神的なものが考えられます。
まずは、実生活での影響について見ていきましょう。
収入源が立たれる
退職金などで一時的な生活はどうにかなっても、再就職先が決まるまでは安心できません。住宅ローンなどの返済を抱えている場合は、住宅を手放すことも検討する必要がでてくるでしょう。
また、子どもの教育・進学の費用もままならなければ、子どもの将来にまで影を落としてしまいます。
このように、当面の生活だけでなく、将来設計にもリストラは大きく影響する可能性があるのです。
家庭での居場所を失う
平日の日中は出勤していたのが、リストラの翌日から毎日出かける必要がなくなります。
最初はリストラのショックでそれどころではないかもしれませんが、多くの人は仕事がない状態で家に居続けると居心地が悪くなるようです。
また、近所の目も気になることから、追われるように再就職活動に出かけるという人も少なくありません。
新しい職場になじめない
仮に再就職先が見つかっても、新しい仕事を覚えるのは楽なことではありません。リストラの中心が中高年となる場合は、年齢的にも難しく感じることが多いことでしょう。
また就職先の社員も、役職がどうであれ年上の新入社員に対してはやり辛さがあるものです。結果として仕事先になじめず、早々と離職してしまう人もいるのではないでしょうか。
貯金を切り崩す
リストラ後、スムーズに再就職できたとしても、収入が大幅に減ってしまう人が多くいます。また、なかなか仕事が見つからず、アルバイトで生活をつなげることも珍しくありません。
さらに、失業保険を受け取っても生活費が不足して、貯金を切り崩す人も当然出てくるでしょう。
切り崩した貯金は収入が増えたときに補填すればいいと考えるかもしれませんが、一度失った労働時間と金銭を取り戻すのは容易なことではないのです。
リストラの精神面への影響
リストラは心にも大きな影響を与えますが、それは単純に不安であるという状態だけではなく、深刻な問題に発展してしまう人もいます。
具体的には、次の2つに集約できます。
自信の喪失
リストラに選定されてしまえば、どうしても「自分は会社にとって不要な人間だったのかもしれない…」「無能だからリストラされたのではないか…」などと自分の評価を下げて考えがちです。
自信の喪失は再就職先を探すことの足を鈍らせ、やる気を失ったり投げやりになったりと、悪いほうへと心を誘導してしまいます。
中には再就職できないほどに、精神的なダメージを受けてしまう人もいるでしょう。
家族や親せきなど、周囲の反応への不安
リストラに遭ったというのはあまり聞こえのいいものではありません。
本人に落ち度がなかったとしても、家族や親戚などの間で自分の評価が下がるのではないか?という思いはあるでしょう。家族に対しては先行きの不透明なことに負い目を感じ、周囲が非難の目で見ているように感じられる人もいます。
精神面への影響は自分の力や努力で解消できるものではありませんので、リストラする側としては、精神面への負担を減らすことを考える必要があります。
経営者としてリストラ対象者にできることを考える
リストラは会社都合でおこなうものですので、早期退職に伴う手当などを支払うとしても、会社としてできる最大の支援を検討するべきでしょう。
次は具体的にどのようなことが行えるか考えてみましょう。
再就職先のあっせんや再就職に向けてのアドバイス
会社としてできることの中で最も喜ばれるのは、再就職先のあっせんではないでしょうか?再就職先がすぐに決まれば、抱える問題に解決の目途が立ちます。
しかし現実的には、リストラ対象者が多ければ多いほど困難になりますので、まずは可能な範囲内で検討してみてください。
取り入れやすい方法としては、再就職支援サービスの利用があります。
民間業者に会社が費用を支払って利用するもので、リストラ対象者個人が利用を希望してはじめて費用が発生します。
リストラする会社としては安いものではありませんが、一定の要件を満たせば助成金が受けられる場合がありますので、検討してみる価値はあるでしょう。
リストラ後の生活に関するフォローやアドバイス
基本的なことですが、会社としては支払うべきもの(退職金や最後の給与、各種手当など)を、迅速に漏れのないように手続きすることで、不安感を少しばかり減らすことができます。
当然ながら、それだけでは金銭面の問題は解決できませんが、万が一に備えたアドバイスはできます。たとえば、住宅ローンなどの支払いが困難になった際に利用できる制度などを調べ、資料として渡すのもいいでしょう。
また、相談窓口や専門家など、相談先を紹介するだけでも、役立つはずです。
メンタル面のケア
リストラによる自信喪失は、再就職を困難にする可能性も秘めています。
まさに人生そのものを変えてしまうことになるため、リストラ面談での伝え方などは十分に配慮しましょう。
また、心のケアのために相談窓口を設置したり、外部の相談先を紹介したりするのも効果的です。
まとめ:経営者として考えるリストラした社員のその後について
いかがでしたか?今回は、リストラした社員のその後をテーマにお届けしました。
リストラを考えるということは、さまざまな背景があり苦渋の選択であることは間違いないでしょう。
しかし、リストラは従業員側に大きな影響を与えてしまいますので、いかにその負担を軽減することができるか?という点を経営者としてしっかり考える必要があります。
リストラを検討されている経営者の方に、今回の記事が参考になれば幸いです。