大手企業が、大規模な人員削減をするとのニュースが飛び交った時期がありました。そして、現在も新型コロナウイルスの影響で余談を許さない状況が続いています。
大手企業の人員削減は、他の企業にも影響を及ぼすこともあるので、気になる方も多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、大企業のリストラの現状と新型コロナウイルスの影響について解説していきます。
大企業がリストラを決断する理由
大企業のリストラが相次ぎましたが、リストラは「経営が苦しいから人員を減らそう」という風に簡単に実行できるものではありません。
それでも大企業がリストラをするのは、経営難だけが理由ではなさそうです。大企業のリストラを通して、経営陣の思惑に迫ってみましょう。
リストラ4つの要件
そもそも、リストラするには4つの要件を満たす必要があります。
①リストラの必要性がある |
②リストラ回避のために努力する |
リストラを回避するために努力することは義務とされ、リストラに至るまでに希望退職者募るなど、行動で示す必要がある |
③リストラ対象者の選定は公平で、客観的にみて合理性がなければならない |
④リストラへの理解を得る |
リストラが必要である理由や手続きに関してよく説明し、対象者からリストラへの理解を得る |
わかりやすく簡単にまとめましたが、ざっと確認しただけでも楽な策ではないことがわかります。大企業ならば社員の多さもあり、より多くの労力を割かなければならないでしょう。
それでもリストラを決行するのは、それだけ経営がひっ迫しており、要件の①にあるようにリストラ以外の有効な手段が他になかったからです。
実際に起きている大規模な人員削減
大手自動車メーカーの数万人に及ぶ段階的な人員削減を筆頭に、証券会社の早期退職者の募集、損害保険会社の数千人規模のリストラ計画など、ニュースで耳にした記憶もまだ新しいのではないでしょうか。
リストラは本来、人員削減だけを指す言葉ではありませんが、これら大企業は一般のイメージ通りに、配置換えなどではなく人員の削減に踏み切っています。
つまり、多くの人材が大手企業から放出されたわけです。
目的は人員削減だけじゃない?大企業の意外な思惑
リストラの要件を満たしたわけですので、経営も厳しい状態にあるのは間違いありません。しかしリストラの内容をよくみてみると、企業には他にも思惑があることがわかります。それが、人員の刷新です。
大手自動車メーカーではリストラを「効率化に向けて」とも発言しており、リストラで人員の若返りや、効率の良い作業に向いている人員を残したであろうことが想像できます。
この傾向は他の大手企業にもみられます。厳しい経営からの脱却するために、人員の削減と同時に人員の刷新を図っているのでしょう。
リストラすると新規の採用は当面見送ることになりますが、先を見据えた経営判断があったと想像できます。
新型コロナウイルスの影響は?「リモートワーク」がキーワードに
では、新しい生活様式の始まりとなった新型コロナウイルスによって、リストラはどう変化しているのでしょうか。
新型コロナウイルスが企業に与えた影響を確認していきましょう。
リストラ対象の多くは中高年の中間管理職
もともとリストラ対象に挙がりやすかったのは中高年です。会社である程度の実績があるため判断材料が多く、客観的に妥当性があるかどうかも判断しやすい面があったのでしょう。
加えて従来の年功序列制度の中では支払う給与も多く、リストラした際に浮く費用が多くなるメリットもありました。
この傾向は現在もさほど変化していません。50代を目途に早期退職を募る企業が多いからです。
しかし最近では、リストラ対象に選ばれる背景に新型コロナウイルスの影響もあるようです。
リモートワークへの対応力が分岐点に
新型コロナウイルスの影響で広まったのがリモートワークの導入です。十分な準備のない中でリモートワークの推進が進んだため、戸惑いを覚えた人もいることでしょう。
50歳を過ぎた方は、とくにその傾向が強いのではないでしょうか。
リモートワークは働き方を変え、会社のトップともオンラインでダイレクトにつながるシステムが中間管理職を不要にしたといいます。
リモートワークが今後どれだけ定着するかは定かではありませんが、IT化やリモートワークへ順応できない社員や中間管理職にいる中高年は、リストラ対象に選ばれる可能性がないとは言い切れません。
まとめ:大企業のリストラの現状と新型コロナウイルスの影響について
大企業のリストラは長引く新型コロナウイルスの影響もあり、今後も断続的に起きることでしょう。
その中には、大企業で長年にわたって経験やノウハウ、人脈を築いてきた中高年社員が多くいます。リストラ対象になったとはいえ、他の企業からすれば喉から手が出るほど欲しい人材が多くいるはずです。
この流れを人材確保のチャンスとし、自社の強化に利用してはいかがでしょうか。