リストラハラスメントは略してリスハラとも呼ばれ、ドラマなどの題材にもなっていますが、その内容を理解していると自信をもって言えますか?
ここでは、会社の経営にも影響を与える可能性もあるリストラハラスメントについて、その内容や実例、予防策などについて解説していきます。
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リストラハラスメントとは?自社でも起こる可能性が
リストラハラスメントは、どのような企業であっても起こる可能性のある問題です。
それは、ハラスメントとは無縁と思っていても認定されることがあるからです。なぜそのようなことが起きるか、まずはリストラハラスメントへの理解を深めましょう。
リストラ対象へのハラスメント行為
リストラハラスメントとは、リストラ対象者に対する嫌がらせ行為で、パワーハラスメントやモラルハラスメントの一面も有します。
リストラは本来、企業側の都合で退職を促すものですが、それを本人の自主的な退社になるように執拗な嫌がらせをするのがリストラハラスメントに該当します。
リストラハラスメントが起きる背景
リストラは、リストラ対象本人の同意がなければ退社にはなりません。
リストラを不服として争った場合、相手側が勝訴すると会社は就業していない係争期間中の賃金を、支払う必要が出てきます。
他にも助成金利用の兼ね合いや支払う退職金の額など、会社に不利益が生じると考えられる場合に嫌がらせ行為に及ぶケースが多くなっています。
リストラの設定目標値をクリアするためなど、個人的事情で嫌がらせをおこなうケースもあります。しかし他の従業員を巻き込んだり、周囲が便乗したりすることもあり、当然ながらリストラハラスメントと認定されれば個人の問題では済みません。
このような事態が起きる一番の要因は、リストラを正しく理解していない点にあります。「リストラ=解雇」のイメージが強くなってしまったのも一因でしょう。
リストラで退職推奨は認められていますが執拗な退職推奨は不当で、対象者本人の意思が尊重されます。
リストラでどのような行為・発言が不当なのかよく確認し、リストラの理解を深めることが大切です。
刑罰の対象になる可能性も
リストラハラスメントは違法行為にあたります。精神的苦痛を与えられたとして慰謝料を要求されるケースも珍しくなく、嫌がらせ行為の内容や回数によっては、脅迫罪や強要罪が適用となる可能性もあります。
どのような行為がリストラハラスメントに?
では、どのような行為がリストラハラスメントにあたるのでしょうか。実例を交えながら、いくつか具体例を挙げてみます。
度を越えた退職推奨
退職推奨は認められているとはいうものの、その回数が尋常でない場合は心身の負担となり、リストラハラスメントに該当します。
実際にリストラハラスメントと認定された事例では、嫌がらせの一環として4ヶ月で30回以上も退職を求められたケースがありました。
配置換え・担当業務から外す
配置換えや担当業務から外すなどの行為も、正当な理由がなければ違法の可能性があります。
実務経験がない、増員の必要性がない、本人の希望とは異なるといった部署への異動は、正当性がないと判定される可能性が高くなります。技術職から肉体労働の部署へと異動し、違法となった判例もあります。
過度な業務量の増加
到底こなしきれない量の仕事を割り振るようなケースもリストラハラスメントとして違法行為になります。能力的に無理な業務を押し付けるのも同様です。
会社に存続したいと思っていても、これでは通勤に苦痛を感じるようになってしまうことでしょう。
上司や同僚からの誹謗中傷
「こんなこともできないのか」「無能は会社にいても迷惑だ」「リストラされて当然だ」など、人を貶める発言もリストラハラスメントです。上司だけでなく同僚などからもいわれれば一生残る深い傷を負いかねません。
注意したいのが、相手によかれと思った発言でもリストラハラスメントになることがある点です。例えば、アドバイスのつもりで「この仕事向いてないのでは」と話しても、相手は自尊心を傷つけられたと感じるかもしれません。
リストラ対象者は不安を抱えナーバスになっていますので、普段以上に言葉選びに気を付ける必要があります。
リストラハラスメントを起こさないために
ハラスメントは受けた側の受け取り方次第という一面があります。リストラハラスメントにおいても同様で、よかれと思った行為でも相手にとっては苦痛かもしれません。
では、リストラハラスメントはどのように防げばよいのでしょうか。
リストラする背景を丁寧に説明する
会社がなぜリストラに踏み切ったのか、その理由を丁寧に説明することで理解を得られれば相手も納得して退社に応じられます。
リストラは相手の理解を得ることからはじめましょう。
社内に相談窓口を設ける
社内に相談できる相手がいないため、専門家に相談するケースがあります。
できれば訴訟に発展する前に解決できるよう、社内に相談窓口を設けておくとよいでしょう。
普段からリストラや解雇に結びつくようなことをいわない
例え話であったとしても、リストラや解雇、クビにするといった言動は安易にしないようにしましょう。「以前からリストラハラスメントがあった」と思われかねません。
改善して欲しいところはきちんと伝える
リストラ対象になるのは、勤務実態に何かしらの問題があると考えられます。
しかしリストラするからと後付けのように指摘するのではなく、普段から改善して欲しいところはきちんと伝えておきましょう。
改善がみられなければリストラ対象になっても理解を得られ、相手も受け入れやすくなります。
相手の気持ちになる
言葉選びは重要ですが、一番は相手の立場になって発言することです。
相手の気持ちになれば不用意な発言は自然と減らせるでしょう。また、思いやる気持ちがあれば、誤って不適切な言葉を選んでしまってもリストラハラスメントになる可能性はゼロに近くなるはずです。
まとめ:リストラハラスメントとは?違法な退職勧奨をしないために
リストラハラスメントは、身近なところでも起きる可能性のある問題です。
違法な退職勧誘は企業イメージを悪くし、経営にも影響しかねません。リストラやリストラハラスメントへの理解を深め、自社で違法行為がおこなわれないよう対策しましょう。