「借金があっても生活保護は受けられるのだろうか…」
「生活保護で借金を返済することはできるのだろうか…」
このような疑問はありませんか?
生活保護は、事情があって収入が見込めない人が生活するための救済制度です。受給された費用は基本的に生活のために使うものであり、本来の目的以外に使用してしまうと不正行為としてペナルティが与えられます。
そこで本記事では、生活保護受給について注意すべき点について解説していきます。
借金があっても生活保護は受けられる
生活保護の支給基準は借金の有無ではなく、生活を送るための収入や就労能力があるかないかです。
そのため、受給を希望する人に借金があっても不利にはなりません。ただ、生活保護受給中の借金の取り扱いには注意が必要です。
自己破産と生活保護
借金のある人が生活保護を受給した場合、生活保護から返済はできません。冒頭で軽く触れましたが、生活保護は借金返済のための制度ではないので、もしも支給金から返済すれば不正使用とされます。
金融機関などは生活費用を差し押さえることはできないのですが、そのままですと返済義務は残ったままです。
借金の心配をしながら生活保護を受けるのは精神的にも負担がかかりますので、自己破産など債務整理をしてから生活保護を受けるのも選択肢のひとつです。
自己破産をした人であっても生活保護は受けられますし、自己破産を理由に生活保護の審査が厳しくなるということもありません。
新たに借入するのは注意
生活保護受給中に借入すると、その金額は収入と判断されてしまいます。支給される生活保護費が減額されるなど、リスクは大きいですので特別な事情がなければ行わない方がよいでしょう。
本人が申告していなくても、各自治体の福祉事務所が口座の動きを管理していますので分かってしまいます。
もっとも、自己破産した経歴は数年間信用情報に残りますので、新たにお金を借りるのは難しいかもしれません。
生活保護の不正受給と注意点について
生活保護は不正受給には厳しく対応しています。不正受給と判断された場合は、受け取ったお金や余剰分を返還しなければなりません。
不正受給は、故意性のレベルによって2種類の扱いがあります。
<返還金>
故意性が薄いと判断された場合、つまり本人に悪気はなく発覚後の対応も問題がなかった場合は生活保護法第63条に基づき「返還金」の扱いになります。
<徴収金>
一方、悪意のある不正受給だと判断された場合は同法第78条により、「徴収金」の扱いになります。
自己破産した場合、返還金については免責、徴収金は非免責とされていましたが、改正生活保護法により、現在ではどちらも非免責債権となっています。
次からは、不正受給としてよくあるケースを見ていきましょう。
給与の申告漏れ
生活保護受給中にも関わらず、働いて無申告の収入がある場合は生活保護の不正受給となり、原則78条の徴収金として扱われます。
しかし、親が生活保護受給しているのを知らずに子供がアルバイトして収入を得ていた場合は対応が異なることもあります。
判明した場合に申告し自ら保護費返還をした場合などは例外的に返還金として扱ってもらえるケースもあるようです。
また、申請時に虚偽の申告を行っていた場合も、基本的には78条が適用され徴収金扱いとなります。
まとめ:生活保護受給と債務整理!~生活保護不正受給と注意点について~
生活保護は借金があっても受給できますが、再出発を支援する制度でもありますので利用前に債務整理を考えてもよいでしょう。
生活保護受給ということを隠して借金をしたり、借金を生活保護費で返済することは不正となります。また、不正を防ぐためにもケースワーカーから債務整理を先にするよう勧められることもあります。
不正受給は悪質だと判断された場合は、40%まで徴収金を上乗せすることも可能ですので規律の範囲内での使用をするよう心がけましょう。