2020.12.23

【法的整理と私的整理】私的整理に関するガイドラインについて

会社の倒産を考えたときには、法的整理・私的整理のいずれかの方法で倒産手続を進めます。裁判所の監督下で手続が進められる法的整理に比べ、私的整理は債権者と債務者の協議で手続が進むため多くのメリットがある反面、いくつかの問題も存在しています。

この記事では、私的整理のこのような問題を解決するために作られた「私的整理に関するガイドライン」について紹介していきます。

私的整理と法的整理とは

先ほども紹介したように、私的整理は裁判所の関与を受けずに債権者と債務者が話し合いで倒産手続を進めます。別名「任意整理」とも呼ばれています。

そして法的整理は、法律に定められた手続きによって行う債務整理のことを指します。

私的整理のメリット

私的整理は法的整理とは違い、倒産の事実を取引先などに知られる可能性が低いため、事業のイメージを損なうことがありません。

また、個別の事案に応じた再建計画を計画するなど柔軟な対応も可能で、手続にかかる費用も最小限に抑えられるでしょう。協議がスムーズに進めば、非常に短い期間で倒産手続を完了させられます。

私的整理のデメリット

私的整理のデメリットは、法的整理と違い全ての債権者の同意がなければ手続が進められない点にあります。短期間で手続を完了させたいと考え私的整理を選択しても、場合によっては法的整理よりも時間がかかってしまう可能性もあるということです。

また、裁判所が関与しないため、手続自体が不透明で債権者の公平性が懸念されます。
これらのデメリットは全て私的整理の問題点であると言えるでしょう。

私的整理に関するガイドラインとは?

私的整理のデメリットで説明したような問題を解決するために、経済団体連合会や全国銀行協会などを委員とする、私的整理に関するガイドライン研究会が公表したものです。

これは、私的整理を公正かつ迅速に行うためのもので、法的拘束力はないものの、関係当事者が遵守することが期待されます。そして私的整理に関するガイドラインには、どのような場合に対象となるのか?私的整理の準則、再建計画の成立、手続の流れなどについて記載されています。

私的整理に関するガイドラインに規定されている手続の流れ

ガイドラインで定められている倒産手続の流れは以下になります。

<私的整理の申し出>

債務者は債権者に対して私的整理を申し出ます。この際に、現在の資産と負債の状況・再建計画案・経営困難に陥った原因などが説明できる資料も一緒に提出します。

<返済の一時停止>

債権者は通知後に借金の返済などを一時停止します。

<債権者会議>

私的整理は債権者全員の合意が必要となりますので、必要であれば複数回の債権者会議が開かれます。しかし私的整理には強制力はありませんので、債権者の拘束はできません。

<計画の策定>

今後の手続や返済計画、再建計画を作成します。

<計画の実行>

債権者全員の合意を得た上で倒産手続が実行されます。

私的整理を成功させるためのポイント

私的整理を成功させるためには、どのようなポイントがあるのでしょうか?
ここからは私的整理を成功させるためのポイントを説明します。

専門家に依頼する

私的整理は債権者と債務者の話し合いで手続が進められますので、会社の倒産や再生の知識を十分に持ち合わせた専門家に手続を依頼する必要があります。

いち早く手続を開始する

特に事業の再建を考えているのなら、会社の業績が悪化して負債が膨れてしまう前に倒産手続を始めましょう。決断が遅れてしまうと事業再生を断念しなくてはいけない恐れがあります。

まとめ:【法的整理と私的整理】私的整理に関するガイドラインについて

法的整理と私的整理の中でも、私的整理のデメリットを解決するために作成された私的整理に関するガイドラインについて説明しました。

事業の継続が困難であると感じているのなら、私的整理を成功させるポイントを理解し、なるべく早い段階で専門家に相談を促すようにしてください。

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