「自己破産をしてもクレジットカードは継続して使えるのだろうか…」
「自己破産後クレジットカードは作成できるのだろうか…」
自己破産を検討されている方にとって、破産後のクレジットカード利用については気になる点でしょう。自己破産前に正しい知識を得ることは、その決断にも大きく影響してきます。
そこで本記事では、自己破産とクレジットカードをテーマに解説していきます。自己破産によりクレジットカードの利用はどうなってしまうのか?という点について知りたい方は是非ご覧ください。
Contents
- 1 自己破産すると契約中のクレジットカードは使えない?
- 2 クレジットカードのみであれば自己破産後も継続して使える?
- 3 今まで使ってなかったクレジットカードは使える?
- 4 自己破産の直前にクレジットカードは使える?
- 5 自己破産前にクレジットカードのポイントは使ってもいい?
- 6 配偶者の自己破産は自分名義のカードに影響するのか?
- 7 破産後に一定期間クレジットカードが作れない理由とは?
- 8 信用情報とは?
- 9 破産後にクレジットカードを作れるまで何年かかるのか?
- 10 信用情報に事故情報が登録されるデメリット
- 11 信用情報は確認することが可能
- 12 自己破産後に法人カードを作れるのか?
- 13 代表者が自己破産すると法人カードはどうなる?
- 14 破産後、クレジットカードの代わりとなるカード・サービスはあるのか?
- 15 まとめ:自己破産後クレジットカードは使えない?気になる疑問の真相!
- 16 経営者がまずは読むべきおすすめ記事
自己破産すると契約中のクレジットカードは使えない?
自己破産の手続きをすると、契約中のクレジットカードの利用はできなくなります。クレジットカードの強制解約は、カード会社が自己破産予定を知ったとき、または自己破産手続きの開始を知ったときに行います。
クレジットカードが強制解約となるタイミングは?
クレジットカードが強制解約となる具体的なタイミングとしては、受任通知が送られたタイミングと自己破産手続きの開始後が挙げられます。
受任通知とは、弁護士に自己破産手続きを依頼した後、債権者に対して弁護士が自己破産の依頼を受けたことを知らせるものです。もちろん、クレジットカード会社も自己破産をする予定をそこで把握しますので、このときクレジットカードは強制解約となります。
また、自分で自己破産を申請する場合には、裁判所が自己破産手続開始の通知を、クレジットカード会社含めた債権者に送るため、このタイミングでクレジットカードは強制解約となります。
クレジットカードのみであれば自己破産後も継続して使える?
自己破産をする方の多くは、これまでクレジットカードであらゆる物を購入してきたことと思います。そこで考えるのは、「自己破産をして借金は帳消しにしたいが、不便になるのでクレジットカードだけは継続させておきたい…」ということでしょう。
しかし自己破産は、特定の債権者だけに支払いを優先させることはできませんので、やはりクレジットカードのみであっても継続させることはできないのです。
今まで使ってなかったクレジットカードは使える?
では、今まで使ってなかったクレジットカード(利用履歴のないカード)についてはどうなのでしょうか?クレジットカードの取得後、未使用であれば借金の事実がないので、自己破産をしても以後使えると考える方もいるかもしれません。
しかし、一度も使っていなかったクレジットカードであっても強制解約となります。カード発行後もクレジットカード会社では定期的な審査を行っており、信用情報機関を通して支払い能力の有無を確認しています。
使ってなかったクレジットカードを含めて全て申告
使ってなかったカードを含めて全てのクレジットカードは、弁護士に申告しなければなりません。万が一、申告せずにその後利用してしまった場合には、債務を増やしたという理由で免責を認めてもらえなくなる可能性もあります。
自己破産の直前にクレジットカードは使える?
自己破産直前に借金をする行為は返済意思のない借入であり、言いかえれば債務整理をする前提での借金であると言えます。「自己破産で帳消しになるのだから、その前にたくさん借入をして他の返済に充てよう…」「大量に商品を仕入れて売ってしまおう…」という行いは、倫理的に考えても許されざる行為であることは、言うまでもないですね。
自己破産前提でクレジットカードを利用すると、破産詐欺罪にあたりますので、くれぐれも変な気は起こさないことです。また、公共料金や携帯電話などにクレジットカードを利用している場合には、早めに支払い方法を変更しておきましょう。
自己破産前にクレジットカードのポイントは使ってもいい?
自己破産によりクレジットカードは強制解約になりますので、それに伴いカードに溜まっていた独自のポイントも失効してしまいます。この独自のポイントに関しては、自己破産前に利用しても手続きにおいて不利になることはありませんので、使っても問題ありません。
しかし、ポイント不足で超過する分を直接利用した場合には、不利益に扱われることもありますので、ポイント内に収めましょう。
配偶者の自己破産は自分名義のカードに影響するのか?
自己破産は、申請した本人の財産が処分されるものですので、配偶者含めた親族の財産には直接的に影響しません。つまり、配偶者が自己破産した場合では、その配偶者のクレジットカードが強制解約されるのであって、自分名義のクレジットカードには影響しないということです。
ただし、破産手続き中の方は配偶者含む、第三者の負債の返済をすることは許されないため、配偶者のクレジットカードで物を割賦購入し、その支払いを実際は夫(破産手続き中)がするのはできません。
破産後に一定期間クレジットカードが作れない理由とは?
破産後一定期間クレジットカードが作れなくなる理由は、破産したことによって信用がなくなってしまうからです。信用のない状態の方に、後払い・借金を認めてしまうと、どうしても不払いの危険性が高まります。詳しくは信用情報というものが関わっていますので、次に見ていきましょう。
信用情報とは?
信用情報とは、クレジットカード会社や消費者金融、銀行などの金融機関が業界ごとに作成しているデータベースのことをいいます。信用情報機関と提携している会社は閲覧が可能となっており、そこにはクレジットカードやローンの契約、取引事実を登録した個人の情報が記載されています。
そして、信用情報という名の通り、クレジットカード会社などが顧客の信用を判断するための参考資料として利用されています。
具体的にどのような情報が登録されているのか?
信用情報に登録される内容について、信用情報機関のCICを例に挙げていきます。
以下は、クレジットやローンの新規申し込みで登録される「申込情報」契約締結後に登録される「クレジット情報」利用途上で登録される「利用記録」のそれぞれになります。
<申込情報>
- 本人識別情報…氏名/生年月日/電話番号/郵便番号
- 申し込み内容に関する情報…契約予定額/支払予定回数/照会日/商品名/照会会社名 など
<クレジット情報>
- 本人識別情報…氏名/生年月日/性別/郵便番号/住所/電話番号/勤務先名 など
- 契約内容に関する情報…契約日/契約の種類/商品名/支払回数/契約額(極度額) など
- 支払い状況に関する情報…異動(延滞・保証履行・破産)の有無/異動発生日/延滞解消日/残債額/請求額/入金額/入金履歴 など
<利用履歴>
- 本人を識別するための情報…氏名/生年月日/郵便番号/電話番号 など
- 利用した事実に関する情報…利用日/利用目的/利用会社名 など
事故情報がどれぐらいの期間記録されるのか?という点は次の章で詳しく解説します。
破産後にクレジットカードを作れるまで何年かかるのか?
信用情報機関に登録されている事故情報が削除されれば、破産後であってもクレジットカードを作れるようになりますが、事故情報が削除されるまでには5年~10年かかってしまいます。
事故情報の記録年数は、各機関以下のようになっています。
- CIC(信販会社・カード会社):5年
- JICC(消費者金融・カード会社):5年
- KSC(全国の銀行):10年
ご覧の通り、CICやJICCよりもKSCの情報登録期間が長く、カードの種類により作成時期に差が生まれます。
必ずクレジットカードが作成できるわけではない
信用情報機関に登録されている事故情報が削除されると、クレジットカードは作れると先述しましたが、これは絶対ではありません。
クレジットカードの利用履歴や、返済履歴といった過去の履歴のことをクレジットヒストリー(クレヒス)と呼ぶのですが、時間が経過することでホワイト(クレヒスが消滅する)になります。また、一度もクレジットカードを持ったことがない人もクレヒスに記録がない状態になっています。
新規にクレジットカード申し込みをした人の信用情報を確認してまっさらな状態ですと、カード会社としては信用の判断をしかねるため、審査基準が厳しいカードに関しては審査落ちしてしまう場合があります。
さらに、過去に契約していたカード会社での再発行は、信用情報機関から記録が消えていても、その会社独自のブラックリストに記録として残っている可能性がありますので、こちらも審査落ちしてしまう可能性があります。
信用情報に事故情報が登録されるデメリット
信用情報に事故情報が登録されるデメリットは、クレジットカードが使えない点や作成できない点だけではありません。信用情報に事故情報が登録されると、保証人になれなかったり、新たな借り入れができなかったり、携帯電話やスマートフォンの分割払いができなったりとさまざまな支障がでてきます。
つまりは、自己破産をするとこれらの制限が生まれてしまうというわけですので、自己破産を検討する段階でその後の生活変化について理解しておくべきでしょう。ただし、自己破産の生活変化では一般的に誤解されている部分が多々ありますので、正確な情報をチャッチしましょう。
信用情報は確認することが可能
信用情報は、申し込みをすれば情報開示することが可能です。CICを例として先述もした通り、申込情報、クレジット情報、利用記録などを確認できます。
クレジット情報には、延滞・保証履行・破産の有無が記録されていますので、その情報がどうなっているかが知りたい方は、一度情報開示されてみるとよいでしょう。CICでの情報開示方法としては、インターネットでの開示、郵送での開示、窓口での開示の3つがあります。
インターネットでの情報開示方法
インターネットでの開示では、クレジット契約で利用した電話番号から指定した番号にかけて受付番号を取得し、それを入力して手続きを進めます。そして、パスワードを入力すると、開示報告書を確認できます。
郵送での情報開示方法
郵送での開示では、信用情報開示申告書をサイトよりダウンロードして記入します。それに併せて手数料と本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード、パスポートや健康保険証などを利用)を添付して郵送します。開示報告書は約10日後に届きます。
窓口での情報開示方法
窓口での開示では、本人確認書類などの必要書類を持ち、窓口に向かいます。窓口に設置されているセルフ開示端末に必要項目を入力して、その後受付カウンターにて本人確認書類を提示すると、窓口にて開示報告書を受け取れます。
自己破産後に法人カードを作れるのか?
自己破産をされた方であっても、起業することは可能です。では、そのような状況で法人カードを作ることはできるのでしょうか?その答えはNOです。
一般的な法人カードの入会審査には、会社の経営状況だけではなく、代表者個人の信用力も重要です。信用情報機関に事故情報として登録されている間は、自己破産後に起業できたとしても法人カードの作成は難しいと思いましょう。
もちろん、通常のクレジットカードの作成と同様に、事故情報登録の期間が過ぎたなら、法人カードを作れる可能性はおおいにあります。
代表者が自己破産すると法人カードはどうなる?
法人カードを申し込んだ代表者が自己破産した場合は、通常のクレジットカードだけでなく、法人カードも強制解約されてしまいます。また、代表者カードだけでなく、社員に持たせている追加カードについても使えなくなります。
社員が自己破産した場合に法人カードはどうなる?
社員が自己破産した場合に関しては、法人カードや社員に持たせている追加カードに何ら影響はありません。
また、審査の段階で社員に事故情報があったとしても、法人カードは代表者の信用情報が関わってくるものですので問題ありません。
破産後、クレジットカードの代わりとなるカード・サービスはあるのか?
破産後すぐは新しくクレジットカードを作成することはできませんが、その代わりとして利用できるサービスを4つ紹介していきます。
家族カード
まず1つ目のカードは「家族カード」です。親カードを親や妻の名義で契約し、夫や子供に子カードを追加して作る仕組みとなっています。
子カードの決済は、親カードの名義人の口座から引き落とされるため、信用情報がチェックされるのは名義人だけです。つまり、破産者の信用情報は関係ないため、家族カードであれば問題なく利用できます。
デビットカード
2つ目のカードは「デビットカード」です。デビットカードは、利用すると銀行口座からすぐに代金が引き落とされる仕組みとなっているため、作る際に信用情報をチェックされません。そのため、デビットカードであれば、破産後すぐにでも利用できるカードの一つです。
クレジットカードと同様、契約店舗であればどこでも利用でき、さらにネット上での支払いや携帯代や電気代などの支払いにも利用できます。クレジットカードと見た目が似ているため、違和感なく使えるのも、デビットカードのメリットでしょう。
プリペイドカード
3つ目のカードは「プリペイドカード」です。プリペイドカードは、事前にカードに現金をチャージし、そのチャージしたお金を支払いに使用するという仕組みです。
そのためデビットカードと同様、信用情報をチェックされないため、破産したあとでも問題なく持てるカードとなっています。しかし、クレジットカードのように分割払いができない点や、携帯代や電気代などの支払いには使用できないため注意が必要です。
スマホ決済
4つ目のスマホ決済はカードではありませんが、タイプによってはプリペイドカードのような決済として自己破産後でも利用することが可能です。スマホ決済には、チャージをして利用をする前払い式と、クレジットカードとの紐づけにより利用する後払い式が存在します。
チャージをして利用する前払い式であれば、クレジットカードとの紐づけなく利用でき、自己破産後も利用できます。
まとめ:自己破産後クレジットカードは使えない?気になる疑問の真相!
破産後にクレジットカードを作れるまでの期間は最短で5年かかり、信用情報機関に登録されている事故情報の登録が、それに関係しているということを理解していただけたでしょうか?
今回の記事内容をまとめると、
- 自己破産をするとクレジットカードは使えない
- 自己破産後すぐはクレジットカードを作成できない
- 自己破産後であっても信用情報の事故情報登録が削除すればクレジットカードは作成できる
- 信用情報は申請すれば確認できる
以上の点が大切なポイントでした。自己破産後クレジットカードが使えなくても、今すぐ代えのものがほしいという方は、家族カードやデビットカード、プリペイドカードなどの利用を検討しましょう。
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