信用保証協会を付けて融資を受ける場合、銀行などの金融機関からの借り入れがしやすくなる一方で、保証料が発生するため勘定科目と仕訳方法を知っておく必要があります。
この記事では、融資の保証料の勘定科目と仕訳方法を解説していきます。
また、保証料そのものについても触れますので是非ご覧ください。
融資を受ける際に必要な保証料とは?
銀行や自治体の制度融資を利用する場合、信用保証協会を仲介する方法も多く用いられます。そもそも信用保証協会とは、小規模事業者や中小企業の金融取引を円滑にするために設立されたものです。
端的にご紹介すると、昭和28年8月に施行された信用保証協会法により、貸付金等の債務を保証することをメインの業務として設立された公的な団体です。
もしも企業が倒産などをして返済が滞ったとしても、信用保証協会が弁済するため銀行などの金融機関は貸し倒れリスクを回避できます。
そのため、事業の規模がそれほど大きくなくても融資が獲得しやすくなるのですが、信用保証制度を利用するためには事業規模に規定があります。
【製造業など】
- 資本金:3億円
- 従業員:300人以下
【卸売業】
- 資本金:1億円以下
- 従業員:100人以下
【小売・飲食業】
- 資本金:5,000万円以下
- 従業員:50人以下
【サービス業】
- 資本金:5,000万円以下
- 従業員:100人以下
【医療法人】
- 資本金:
- 従業員:300人以下
※政令特例業種では条件が異なる場合があります。
ほとんどすべての業種で信用保証制度が利用できますが、一部例外となる業種もあるので要注意です。
また、借入金とは別に保証料が発生するという特性があります。
保証料の決め方は?
信用保証協会の保証料の決め方は、基本利率を元にされています。
保証利率は以下のように9個に分類されているのが特徴です。
- 区分1.基本利率:1.90
- 区分2.基本利率:1.75
- 区分3.基本利率:1.55
- 区分4.基本利率:1.35
- 区分5.基本利率:1.15
- 区分6.基本利率:1.00
- 区分7.基本利率:0.80
- 区分8.基本利率:0.60
- 区分9.基本利率:0.45
これを参考にして、
- 事業の規模や業種
- 資金使途
- 返済能力や計画性
- 経営者
- 融資額
- 担保の有無
- 事業の将来性
などを元に利率が決められ保証料が定められます。
負担軽減措置が利用できる自治体も
信用保証料協会によっては、信用保証料の支払い負担を軽くするために、負担軽減措置を提供しているところもあります。
- 不動産など担保を用意する
- 会計参与をおいていることが分かる書類を提出する
- 公認会計士や監査法人などの監査を受けたことが分かる書類(監査報告書)のコピーを提出
上記のような条件を満たすことで、信用保証料が割引されることもあります。なお、制度の内容や条件についてはエリアによって異なるため事前に確認ください。
融資保証料の経理処理について
では、融資の際に発生した保証料の経理処理について触れていきましょう。
融資保証料の勘定科目は、「支払保証料」とすることが多いです。
しかし、会社によってはシステムに登録されていなかったり、やみくもに科目を増やしたくないという考えがあるかもしれません。
そういった時は
- 支払手数料
- 支払利息
などの項目を代用することもあります。
仕訳方法
実際に仕訳をする時は、「当期分のみを計上する」というのが良いでしょう。
融資保証料は最初に一括で支払うため、混乱してしまいますが保証されている期間に効力があるため、前もって計上するのは適切ではないのです。
当期の保証料の算出方法は、保証料総額×貸付日から期末までの日数 /保証期間です。
保証料の総額は、勘定科目で「長期前払費用」として仕訳を行いましょう。
決算月には、
- 借方: 支払い保証料
- 貸方:長期前払費用
として整理します。
まとめ:融資の保証料とは?融資の保証料の勘定科目と仕訳方法を解説!
信用保証協会は、中小企業の金融取引のために存在する団体であることが分かりました。
融資が受けやすくなる大きな利点の反面、保証料の発生や独特な勘定仕訳など前もって知っておく知識も多いため、融資を利用する前に本記事でご紹介したポイントを押さえておきましょう。