固定費低減は多くの会社経営者の方にとって、頭を悩ませているテーマではないでしょうか?
会社経営の安定化のためにも毎月かかる費用を抑えることは重要ですが、どのようなものでも削ってしまえばいいというものではありません。
そこで今回は、固定費低減に役立つ考え方から注意点までを解説していきます。
固定費や経費の削減がなぜ大事なのか
固定費低減を試す前に、「なぜ会社にとって大事なのか」という点を理解しておきましょう。
利益を増やすために売り上げや業績を上げることに注力する方もいますが、利益率アップのために経費を低減したほうが、効率がよいケースも多いのです。
利益率を上げるためにも役立つ
先ほど、経費を低減することが利益率アップにも役立つとご紹介しましたが、こちらではより詳しく見ていきましょう。
1,500万円の売り上げがある企業を例として、固定費を含めた経費が1,200万円(80%)かかるとします。
そうした場合、差し引いた300万円(20%)が利益となります。
経費低減と売上アップした両方のケースを比較してみましょう。
<経費削減>
固定費を含む経費を10%削減すれば、経費は1,080万円で利益は420万円。
<売上アップ>
経費を80%のまま、売り上げで利益を420万円まで伸ばす場合は、2,100万円売り上げなければいけません。
2,100万円(売上)-1,680万円(経費8割)=420万円(利益)
同じ利益を得るために、大きく売り上げを伸ばさなければならなくなってしまうことが分かります。
どのような業種でもそうですが、売り上げを伸ばすのは簡単ではありませんよね。もちろん、売り上げを伸ばして経費も削減できるのが、利益を得るのに効果的ですが、売上はすぐに反映されるものではないため、まずは経費を見直して無駄を削ることが有効でしょう。
削減を目的化しないことも重要
固定費・経費の低減は大切である理由を解説しましたが、それはあくまでも利益を伸ばすための「手段」です。
それを目的化してしまうと、必要な経費まで削ってしまい会社の財務状態が健全ではなくなってしまいます。
会社の成長のために経費の重要性を見極めるのは手間かもしれませんが、日常的に検討していくことで判断しやすくなるでしょう。
また、固定費や経費の低減は経営陣と従業員ではモチベーションが異なります。
経営者からすると無駄と思っても、現場では必要と感じる経費があるかもしれませんので、情報共有とコミュニケーションを忘れないでください。
経営のための固定費や費用の低減対策って?
会社経営のための固定費低減の工夫をご紹介します。
- ペーパーレス
- 電力やガス会社の見直し
- 人件費
ペーパーレスは、紙やインク代の節約にもなりますし、書類の保管場所を取らず空間を有効活用するのにも役立ちます。
また、データでのやり取りをメインにすればコピー機やファックスなどの設備費用も節約できます。
飲食店や製造業など、水道やガスを使う業種の方は光熱費を契約している会社の見直しも有効です。
電力やガスの自由化が始まってから、民間の企業が参入し多様な料金プランやサービスを選択できるようになりました。
事業向けの会社もあるので、見積もりをして今の支払いと比較してみてもよいでしょう。
人件費も固定費ですが、こちらは数字だけ見て整理や削減を行うのは早計かもしれません。
その理由は次項で説明します。
固定費低減をする際に注意したい点
固定費低減の対象となりやすいのが、人件費の削減です。
人員整理やリストラを行って削減をする会社もありますが、業績や実績だけで判断してしまうと思わぬ事態が発生する場合がありますので、注意深く実行する必要があります。
たとえば、4人いる事務員の内、数字も稼ぐ優秀な2人を残して人員整理するとします。
重要な仕事を担う2人が残り、日常的な業務や雑務を行っていた2人がいなくなれば、残った従業員が雑務なども行う必要が生まれます。
すると重要な仕事に割く時間がなくなり、それが会社全体の悪影響になってしまう…ということも考えられます。
このように、数字だけでは役割が分からないこともあるので、しっかりと精査することが大切になります。
まとめ:会社の固定費低減を効果的に行う方法と注意点
今回は、会社の固定費低減がなぜ大事なのか?という点について解説しました。
- 固定費や経費を削減すると利益の拡大にもつながる
- ペーパーレスや光熱費の見直しも固定費低減に効果的
- 人件費については慎重に審査して行うべき
という3つが本記事のポイントです。
固定費低減を効果的に行うためには、日々の経費管理が重要ということを覚えておきましょう。