2020.10.31

2020.10.31

給料が未払いになっている場合の源泉徴収と年末調整

会社として欠かせない業務のひとつが年末調整の手続きです。しかし、未払い給料があると、どのように扱ったらいいか分からない方もいるのではないでしょうか?

そこで本記事では、未払い給料の年末調整をテーマに解説していきます。

そもそも年末調整とは?年末調整についておさらい

経営者の方であればご存知のことと思いますが、源泉徴収は会社が給料を支払う際に従業員の給料・賞与から所得税を徴収し、国に納めることです。

そして、その年に本来徴収するべき所得税の総額を年末に再度計算して、源泉徴収した金額と比べた上で過不足金額を調整することを「年末調整」といいます。

過不足金額が発生する理由は、給料金額の変更・転職・家族構成の変更によるものとなっており、12月の年末調整で改めて1年間の収入・控除などを含めて算出して最終的な所得税の金額を確定します。

年末調整は12月だけではない

年末調整は「12月に行う場合」と「年の中で年末調整を行う場合」があり、それぞれ年末調整を行う対象者が変わりますので見ていきましょう。

12月に年末調整を行う場合は以下のようになっています。

  • 会社などに1年を通じて勤務
  • 年の途中で就職し年末まで勤務

ただし、以下のような対象者は除きますので注意しましょう。

  • 1年間に支払うことが確定した給与総額が2,000万円を超える
  • 災害減免法の規定によってその年の給料に対する所得税・復興特別所得税の源泉徴収について徴収猶予・還付を受けた

年の途中で年末調整を行う場合は以下のようになっています。

  • 海外支店などに転職したことによって非居住者となった
  • 死亡により退職
  • 著しい心身の障害のため退職
  • パートとして働いている人などが退職した場合に、本年末に支払いを受ける給料総額が103万円以下

また、年末調整を行うには「給与所得者の扶養控除などの申告書」「給与所得者の保険料控除申告書・給与所得者の配偶者特別控除申告書」などが必要となりますので用意しておきましょう。

未払い給料の年末調整について

毎月支払われる給料が未払いとなっている場合、給料がきちんと支払われるまで源泉徴収は原則行われません。そのため、源泉所得税の納付書に関しても、未払い分は記載しないのが原則となっています。

ただし、役員に対する賞与は、支払い確定日から1年を経過した日までに支払いがされていなかった場合、1年を経過した日に支払いがあったものとみなして源泉徴収を行います。

給料の一部を支払い、残りの金額が未払いとなっている場合には、支払うべき給料の全額に対する所得税のうち、実際に支払った給料の金額に対する部分の所得税および復興特別所得税を源泉徴収します。

つまり、基準となる数量に比例した割合で割り振る按分を行います。

例えば、月給30万円であれば源泉所得税が2万円だったが、そのうち15万円をなんとか支給した場合での計算方法は「2万円 × 15万円 / 30万円 = 1万円」です。

つまり、15万円の給料から差し引く源泉所得税は1万円となります。

年末調整を行う際に未払い給料が残っている場合、未払い給料の金額も年間の給与などの支払金額総額に含めます。

さらに、未払い給料に対する所得税および復興特別所得税の金額も、年間の所得税および復興特別所得税の金額の総額に含めて年末調整を行います。

まとめ:給料が未払いになっている場合の源泉徴収と年末調整

今回は未払い給料の年末調整について説明してきましたが、いかがだったでしょうか?

ただでさえ複雑そうなイメージの強い年末調整ですが、加えて未払い給料もあるとなると、「さらに複雑になるのではないか」「大変なのではないか」と頭を抱える経営者の方もいるでしょう。

そこで、本記事で紹介した未払い給料の扱い方を参考に、年末調整をスムーズに行ってください。

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