事業売却やM&Aによって得られるメリットは、資金確保や事業活性化である事をご存知の経営者の方は多いでしょう。
しかし、あまり知られていないのが事業売却やM&Aによる株価への影響ではないでしょうか?
そこで本記事では、事業売却やM&Aが与える株価への影響について解説していきます。
Contents
M&A、事業売却で株価が変動する理由とは
結論からお伝えすると、M&Aを実行することで大抵株価は大きく変動します。
事業買収と株価の関係を知るために、まずは株価が値動きする理由について見ていきましょう。
株価が値動きする理由について
株価の変動は業績の良し悪しに関係するのですが、該当会社の業績が良ければ上昇し、悪くなれば下降します。
また、買い手がたくさんいる状態で需要が大きければ株価は値上がりし、逆に買い手が少なければ株価は下がります。
上記を組み合わせて考えると、M&Aや事業売却で業績が上がって株の買い手が増えれば株価は上昇し、業績が不安定に見られ買い手が減ると株価は下落するということです。
M&Aの影響は、実行直後だけでなく時間を経てじわじわと株価に反映しますので、短期だけでなく中長期で株価の動きに注目しましょう。
M&A、事業買収が買収する側の株価に及ぼす影響
事業買収による株価の影響を深く理解するために、事業買収の目的をおさらいしましょう。
事業買収の目的としては、
・企業規模の拡大
・経営資源について、自社で足りない部分をおぎなう
・業務の効率化
・企業力、ブランド力の増強
などがあります。
買収側としては、上記の目的を達成させるために対価を支払ってM&Aを実践するわけですが、必ずしも成功するとは限りません。
M&Aによって逆に業績悪化してしまうリスクも存在し、「買収によって引き受けたマイナス面がある」「買収結果と買収費用のバランスが悪い」と市場判断された場合、買収側の株価に影響を与え下落することがあります。
M&A、事業買収で株価が上昇・下落した事例
M&A、事業売却を利用して株価が上昇した例と、下落した例をご紹介します。
ダイキン工業 |
ダイキン工業は2012年に米国大手グッドマン社を買収。これにより、ダイキン工業株は買収発表のあった2010年から2019年末まで日経平均を上回り上昇し続けました。買収による経営利益の上昇が株価に反映したと考えられます。 |
武田薬品工業 |
ヨーロッパの大手製薬会社の買収を2018年に発表しましたが、取引額がかなり高額であったことから、投資家から敬遠されることに。そして、買収を発表した年は株価が約半値に下落するという結果になってしまいました。徐々に持ち直しはしているものの、現状でも株価は低迷したままとなっています。 |
収益による株価変動はもちろんありますが、上記の通り投資家のイメージによって左右されることもあります。
これまでの会社の企業理念や目標の定め方など、総合的な判断でも株価は変化しますので、M&Aによって上昇下降が見られるのは必然的なことだと言えるでしょう。
まとめ:事業売却、M&Aが株価に与える影響とは?
いかがでしたか?今回は、事業売却、M&Aが株価に与える影響について具体例を交えてご紹介しました。
事業の活性化を目的とした事業売却は、大手はもちろん中小企業からも注目され増加傾向にあります。また、事業規模の拡大や、事業承継問題の受け皿としてM&A、事業売却は有効な手段です。
しかし、事業売却は株価に大きな影響を与えますので、会社そのもののメリット、デメリットだけでなく、どのような影響が起こり得るかをシミュレーションしておくことが大切でしょう。
収益が実際に大きくなるなど拡大することは最重要事項ですが、それに加えて「投資家たちがM&Aについてどのような印象を持つのか」ということまで図っておく必要があります。