不動産を売却する際はタイミングを図りながら総合的に判断することが大切ですが、その前の前提として、不動産についての用語を正しく理解しておく必要があります。
しかし、不動産売却における重要な用語である「薄価」や「時価」について知らない方もいるのではないでしょうか?
そこで本記事では、法人による不動産売却時に知っておきたい知識や、個人と法人での異なる点について解説していきます。
不動産売却で使われる「簿価」とは?
簿価とは、端的に帳簿上の価格・購入時の金額をいいます。まずは、こちらの特徴を具体的に見ていきましょう。
簿価は時間がたっても変動するものではない
簿価は時間がたっても変動することはありませんが、土地以外の建物家屋については経年劣化によって価値が年々下がっていきます。その、現状の不動産価値については、簿価に基づいて減価償却を実施することで導き出すことができます。
簿価を売却希望価格の裏付けに使える
建物等であれば年数に応じて価値が下がりますので、買い手からはそのあたりについて、値段交渉をかけられることがあります。
しかし、なるべく高く売りたい売り手としては売却希望価格の裏付けとして、簿価を参考として利用することができます。
不動産売却での簿価と時価の違いについて
簿価が購入時の金額として変動がないものであるのに対して、時価は景気や時世によって変動するものであり、ある時点での不動産の市場価値を指すものです。
そして家屋建物については、購入時の金額である簿価から減価償却分を差し引いたものが時価となります。
時価を算定するには、
- 固定資産税評価額や相続税評価額から計算する
- 不動産屋に算定を依頼する
- 不動産鑑定士に評価を依頼する
以上のような手段で具体的な時価を知ることができます。
不動産売却における個人と法人の違い
不動産の売却は、売却主が個人なのかそれとも法人なのかで税金などの取り扱いが異なります。
不動産売却時の個人と法人の取り扱いで異なる点としては、
- 個人は「譲渡所得税」法人は「法人税」が課せられる
- 消費税の取り扱い
- 減価償却について
以上が挙げられますので、それぞれ見ていきましょう。
個人の「譲渡所得税」法人の「法人税」について
まず、個人が不動産を売却した場合は譲渡所得税が課せられます。これは、所有期間が5年未満なのか、5年以上なのかによって税率が変わり、5年以上の所得であれば税率は低くなります。
また、当該売却物件が居住用不動産であれば3,000万円までの控除が認められ、個人の譲渡所得税は、分離課税として扱います。
一方法人が不動産を売却した場合にはその収益に法人税が課せられ、法人であれば分離課税の対象ではないため、その他と合算されて計算されます。
消費税について
個人の不動産売却に消費税等は課せられませんが、法人であれば消費税の対象です。売却時に消費税分を価格に上乗せするのであれば、個人が売却する費用よりも法人の方が、売価は高くなるということになります。
減価償却について
減価償却について、法人はそれ自体が任意であり、方法についても選択が自由です。個人の不動産については定められた方法で毎年、減価償却が実施されています。
以上のように、不動産の売却は個人か法人かによって異なりますので、節税対策も踏まえて理解しておく必要があるでしょう。
まとめ:法人による不動産売却・簿価と時価の違いとは
いかがでしたか?今回は、不動産を売却するときに耳にする「簿価」と「時価」について、そして、個人で不動産を売却する場合と、法人で行う場合の違いについて解説してきました。
簿価とは購入時の金額であり変動がなく、対して時価は不動産の市場価値をさし、常時変動していくものです。
それぞれは、販売時の交渉や税金の決定に大きく関与しますので、売却を検討する前から頭に入れておくとよいでしょう。
また、個人と法人では不動産売却における税金の取り扱いがまったく異なりますのでご注意ください。