2020.11.24

受任通知が遅い原因は?債務整理の流れと注意点

債務者にとって、督促を止める効果のある受任通知の送付は、債務整理の中でも重要なポイントです。

ところが、手続きを進めたはずなのに受任通知が債権者に届くのが遅く、債権者からの督促が続くことがあります。では、受任通知の届けが遅くなるのはどうしてでしょうか?

ここでは、任意整理の流れを確認しながら受任通知が遅い理由や、手続きにおいて注意すべきポイントを解説します。

受任通知が遅い・・・任意整理の流れを解説

まずは、任意整理の全体の手流れを追いながら、受任通知が送付されるタイミングを確認してみましょう。

①専門家に相談する

特に資格などを有していなくても、債務整理の手続きは可能です。しかし、債権者や裁判所などとのやり取りは簡単ではないため、弁護士や司法書士などに依頼するのが一般的です。

そのため、専門家に相談し、どこに依頼するか決めることから債務整理は始まります。

②正式に依頼する

どこに頼むか決まれば、正式に専門家に依頼することになります。

債務整理は資産状況を依頼相手に詳細に告げる必要があるため、依頼料の安さではなく実績や経験が十分にあり、信用のおける相手に依頼することが大切です。

③受任通知の送付と取引委履歴の開示請求

正式に依頼し相手が受けることを「受任」といい、受けた弁護士は債権者に対して「受任通知」を送ります。

「受任通知」は弁護士が債務整理の窓口になったことを示すもので、これ以降、債権者は本人に直接督促できなくなります。また、債務整理によって返済計画が決まるまでは返済も止まるのがポイントです。

債権者に対しては、受任通知の送付と同時に取引履歴の開示を求めますが、通常は拒否することはないため、比較的短期間のうちにそろえることができるでしょう。

④返済額を調べる

取引履歴が届いたら、どの程度まで借金を減額できるか計算します。

借金そのものの金額には変わりはありませんが、過去に利息を支払い過ぎている場合には借金の返済と相殺して実質支払う額を減らすことが可能です。

ただし該当するかは借金の時期や金額、利息などにもよります。

⑤債務整理の方法を決定

算出した支払うべき額などを元に、次は最適な債務整理の方法を決定します。

債務整理には主に「任意整理」(または「特定調停」)、「個人再生」、「自己破産」の3つの方法があり、その中から状況に応じてもっとも適した手続きを進めることになります。

⑥債務整理の手続きの開始

債務整理の方法が決定すれば、債務整理の手続きに入ります。手順は債務整理の方法によって異なり、場合によっては債務者が裁判所などに出向く必要なども出てきます。

すべての支払いを終えることで債務整理も完了したといえますが、実際には信用情報への掲載が終わり、ローンなどが組めるようになるまでは通常の状態に戻ったとはいえないでしょう。

信用情報の回復は返済が完了してから5年後が1つの目安ですので、債務整理には長い時間と数々の手順を踏む必要があるとわかります。

受任通知が届くのが遅いのは自分のせい?手続きで注意すべきこと

債務整理の流れからわかるように、債務者は弁護士などの専門家に依頼してしまえば、ほとんどの手続きは代行しておこなってくれます。

しかし、自分ですることは少ないとはいえ、その中には注意しなければならない大事なポイントがあります。

督促が止まらない!?伝え忘れで起きること

債務整理を依頼すれば債権者からの督促はなくなり、精神的に楽になれます。しかし、受任通知が相手に届くのが遅く、なかなか督促が止まらないケースも出てきます。

これは、債務整理の依頼をしてから受任通知が郵送されるまでの時間差で起きたり、債権者の数が多かったり、弁護士がその他の対応に追われていることが考えられます。

しかし、債務者が弁護士にすべての借金を伝えていない場合には受任通知も届かないため、督促も止まることはないでしょう。債務はすべて弁護士に開示することが求められます。

債務整理を依頼し、受任通知を発送してから数日たっても督促がくる場合は、債権者の伝え忘れがないかよく確認しましょう。

それでも督促が止まらない場合は、債権者は法を犯しているとみることができます。慌てずに弁護士に督促の状態を伝え、適切な処置をしてもらうのがいいでしょう。

債務整理を安易に口にしない

会社を経営していると、自分の言動の重みを実感した経験はあるのではないでしょうか?債務整理についても安易に口にしないほうがいいでしょう。

まず、噂として広がり、会社の経営に影響を及ぼすことが考えられます。債権者にとっても重要なことで、債務を少しでも多く回収するために給与を差し押さえするなどの手段に出る可能性が出てきます。弁護士費用の支払いや債務の返済計画も困難になれば、債務整理そのものを考え直さなければなりません。

債務整理についての言動は、仮の話であったとしても、財政状況が切迫していると考えられます。

どちらにせよプラスになることはないため、受任通知が送付されるまでは債権者はもちろんのこと、他の人には話さないようにしましょう。

まとめ:受任通知が遅い原因は?債務整理の流れと注意点

受任通知は正式に依頼すれば迅速に送られるもので、送付が遅い場合には何かしらの理由があると考えられます。

債権者の伝え漏れであれば受任通知は送付しておらず、返済計画にも影響する恐れがあります。抱える債務の内容や収支などは漏らさず伝え、不備に気づけば早めに弁護士に連絡しましょう。

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