破産時には「債権者集会」が開催されることがありますが、皆さんは債権者集会にどのようなイメージをお持ちですか?
テレビなどの影響で「債権者集会=怖い」というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか?
また、債権者集会へ参加しなければならない状況にある方であれば、「怒号が飛び交ったり」「罵声を浴びせられたり」と、集会が荒れるのではないか?と不安を抱える方もいるでしょう。
そこで本記事では、債権者集会は荒れることがあるのか否かについて解説していきます。
債権者集会と一般的な流れを紹介
債権者集会とは、破産手続においてそれぞれの債権者へ破産事件の進捗状況、財産換価状況などを報告し、債権者から意見を聞くための集会のことです。
債権者集会には、「債務者(破産者)」「裁判官」「破産管財人」「債権者」「債務者の代理人弁護士」が出席します。
債権者の一般的な流れは以下のようになっています。
- 破産管財人から財産状況などを説明される
- 破産廃止について意見を聞く
- 質疑応答
- 計算や配当などの報告
上記の流れで進む債権者集会ですが、実際のところ会場が荒れるケースはあるのでしょうか?次の章から詳しく説明していきます。
債権者集会が荒れることはあるのか
結論としては、実際の債権者集会では荒れるケースはほとんどなく、淡々と手続きが進み、5分程度で終了するケースがほとんどです。とはいえ、荒れる債権者集会が全くないというわけではありません。
債権者集会に出席している債権者で、個人の方が多い場合には債権者から厳しい指南、罵声といったものを受ける場合もありますし、取引先に個人事業主や零細企業が多い場合も債権者集会が荒れることがあります。
金融機関の場合、融資する際に倒産のリスクも織り込み済みのはずですので、返済は諦めて損金処理をするだけでしょう。
一方、個人や零細企業の場合には倒産のリスクを織り込んでいないため、怒りがこみ上げてくるのだと思います。債権者集会は直接意見できる機会があるため、その場において文句があげられます。
このように、債権者集会の雰囲気がどのようなものであるかは一概には言えません。
誠意が見られなければ債権者集会が荒れることも
2018年に横浜にある振袖会社が突然店舗閉鎖し、多くの新成人が振袖を着られなくなったことが大きな問題となりましたが、記憶にありますでしょうか?
破産することとなった、はれのひ株式会社の債権者集会では社長が不在のまま開催され、参加者のなかには誠意が見られないと憤る声が聞かれました。
また、2017年に破産した格安旅行会社の株式会社てるみくらぶ(破産総額約151億円)の債権者集会では、消費者を中心に500名超の債権者が集まり、粉飾決算の実施などが明らかにされたそうです。
旅行中だった利用者に多大な迷惑をかけただけでなく、粉飾決算などの不正があった事実から、債権者集会で怒号が飛んでいたというのは、言うまでもありません。
破産と一口に言ってもさまざまな状況がありますが、このように代表者の誠意が見られなかったり不正があったりした場合には、債権者集会が荒れてしまうことがあるので、債権者集会に出席する代表者は誠意ある対応が求められます。
まとめ:債権者集会は荒れることはあるのか?基礎知識や流れも紹介!
いかがでしたでしょうか?
今回ご紹介したように、
- 大きな破産事件において多数の債権者が損害を受けたケース
- 債権者に個人が多いケース
- 債務者(破産者)側が不正していた可能性があるケース
などの場合、債権者集会が荒れる可能性があります。
しかし、一般的な債権者集会は淡々と手続きが進むことが多いですので、余計な心配を持たずに誠意を持って対応しましょう。破産は複数の事情が複雑に絡んでいることでしょうから、説明義務をしっかり果たすことで誠意が伝わることでしょう。