飲食店は、他の業種よりも倒産する確率が高いと考えられていますが、なぜそうなのかという理由に答えられる人はそれほど多くないでしょう。
そこで今回は、飲食店の倒産件数が多い理由について解説していきます。
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飲食店は倒産しやすい?
飲食店はどの町にもある、私たちの生活に身近な存在ですが、結論からして閉店する確立が高い業種でもあります。
開業から1年で閉店するのは3割、2年目には5割、3年目には7割にも上るとされており、2020年の倒産件数は11月末の時点で過去最多を更新しています。感染症の拡大は飲食業に甚大な影響を及ぼすことが明確ですが、コロナ禍以前のデータでも、すでに外食産業の倒産率の多さは問題視されていました。
赤字が原因とは限らない!実際に多い倒産理由
では、なぜ飲食店の倒産が多いのでしょうか?続いて倒産理由について見ていきましょう。
試算が甘い
飲食店を開業する場合、物件・内装・設備・備品・従業員・仕入れ…などが必要となり、多くの資金が必要です。たとえ広くないお店であったとしても、開業資金として数百万円のまとまった金額が必要となります。
そのような中で、開業資金を全て自己資金で賄う人は少なく、多くの経営者は金融機関から融資を受けているでしょう。借入額が多すぎれば返済が大変になりますが、借入額が少なすぎるのも問題です。
お金を借りるという事にネガティブなイメージがあるためか、資金が少ない中で開店してしまう場合もあり、試算が甘いとすぐに資金ショートしてしまう恐れがあります。
飲食店の運転資金は、賃料・仕入れ・人件費・光熱費…などが当たりますが、開業してからすぐ軌道にのることは難しいので、オープンしてから6ヶ月分くらいは運転資金として借入れておくとよいでしょう。
人手が足りない
人手が足りていない業種は多くありますが、特に飲食店は人手不足となっており、それが起因して廃業するところも多くあります。ではなぜ、人手が不足すると倒産や廃業に繋がるのでしょうか?
色々な考えがありますが、「負のサイクル」が起こりやすくなるのも理由の1つでしょう。人手不足に陥ると、少ない人数で従来の業務をこなさなければならなくなり、必然的に1人当たりの業務的負担が増え、どこかでクオリティの低下が現れます。それがお客様に対しても現れ、接客態度や対応スピードが遅くなることも考えられます。その結果、客離れを起こし売上が低下するというのが、人手不足が原因で起こる可能性のある負のサイクルです。
人手不足は従業員だけの問題ではなく、その事業を引き継ぐ人材、つまり後継者不足も深刻です。店主の高齢化が進み、お店を継ぐ人が見つけられず廃業を選ぶ飲食店は、今後も増加すると予測されます。
調理スキルだけではなく経営知識も重要
飲食店に従業員として勤務していた人が、独立して自分のお店を出すというケースもありますが、経験があるからといって、お店の経営もうまく行くかと言えば、それはまた別の話になります。優秀な調理師であっても、優秀な経営者ではない可能性も往々にしてあるのです。
「自分は経験があるから大丈夫」と過信せずに、お店を持つのであれば経営や資金繰りについての知識を身に付けましょう。経営に詳しい人と一緒にお店を持ってもよいかもしれませんが、その場合はきちんと信頼できる人かどうかを見極めることが大切です。
まとめ:飲食店の倒産件数が多い理由とは?~事前の対策はしっかりと~
本記事では、なぜ飲食店の倒産件数が多いのかについて紹介しました。
- 資金繰りについての試算が甘い
- 人手不足による負のサイクル
が倒産に繋がるケースが少なくないようです。
飲食業の経験がある方も、自分のお店を持つ際は経営観念を身に着けることを大事にするとよいでしょう。
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