受任通知は債務整理の手続き以外にも、弁護士が代理人となる手続きであれば、さまざまな場面で用いられます。その受任通知が内容証明郵便で届いた場合は、代理人であると伝える他にも重要な意味合いが込められているため、慎重な対応が必要です。
ここでは、受任通知が内容証明郵便で届いた場合の対処法や注意点などについて解説していきます。
Contents
内容証明郵便とは?受任通知が内容証明郵便で送られる意味
受任通知は弁護士などが依頼人の代理人となったことを通知するもので、記載内容の案件に関しては依頼人に直接連絡しないで自分を窓口にして欲しいといったことが書かれています。
必ずしも内容証明郵便で送る必要はありませんが、内容証明郵便で届いたからには、何かしらの意図があると考えられます。では、それにはどのような意味が込められているのでしょうか。
記録が残される内容証明郵便
内容証明郵便とは、郵便物の記載内容を郵便局に証拠として残すもので、訴訟になった際には証拠として使用できます。
受任通知をわざわざ内容証明郵便にする理由
受任通知を内容証明郵便で送る背景には、相手側の強い意思がみてとれます。
仮に受任通知の目的が滞っている支払いの回収であれば、「これ以上は待てない、今度ばかりは必ず支払ってもらう」といった具合です。
相手側はそれなりに強固な姿勢であると考えられるため、こちらの対応次第では訴訟になると心得ておきましょう。
受任通知が内容証明郵便で届いたときの対処法
では、受任通知が内容証明郵便で届いたらどのように対応すればいいのでしょうか?次は具体的に対処法をご紹介します。
内容証明郵便に記載された内容を確認する
まずは、内容証明郵便の中身をよく確認しましょう。宛名の弁護士や法律事務所が知らない名前であっても後回しにせず、できるだけ早く確認するようにします。内容によっては迅速に対応する必要もあるからです。
すべての内容に目を通したら、すぐに記載内容が事実に基づいたものであるか確認しましょう。ここで重要なのは、自分が認識していることで正誤を判断するのではなく、帳簿や他の従業員の話など、客観的に判断することです。
済んだことと思っていても何らかのミスで正しく処理されていないことも考えられるため、事実関係を正しく把握することが大切です。
弁護士など専門家に相談する
事実関係の確認が取れれば、それを元に専門家に相談することをおすすめします。
専門家の手を借りずに対応するのは可能ですが、専門用語や法的な問題が出てくるとどうしても手に余ります。弁護士との交渉に慣れている専門家に任せるのが安心でしょう。
注意!内容証明郵便で届いた受任通知への間違った対応
内容証明郵便で届いた受任通知への対応を間違えると、問題をより大きくし解決に数倍の時間を要することになります。
訴訟に発展する可能性もあるため、対応には十分に注意しましょう。
中でも気を付けたいのが次の4点です。
専門家に相談する前に返答しない
回答期限が記載されていると、何かしらの回答をしなければと焦ることもあるでしょう。しかし専門家に相談する予定があるならば、返答は避けるべきです。
「多分」「きっと」といったニュアンスが含まれていても、後で「約束と違う」などと揉める原因になりかねません。
期限内に「弁護士と相談したうえで改めて回答します」と連絡するのが最適でしょう。
受任通知を無視しない
受任通知の内容に身に覚えがなかったり、事実と異なるものであったりしても、無視してはいけません。軽く考えて放置すると、相手が法的な手段に出る可能性が高まります。
受任通知の内容は必ず事実確認をし、弁護士に相談したり事実確認に時間がかかったりする場合にはその旨を相手に伝えます。
受任通知にきちんと対応しているとわかれば、大抵の場合は話し合いでの解決に応じてくれるでしょう。
相手側の主張や要求を鵜呑みにしない
受任通知に裁判を匂わすような記述があると、穏便に済ませたいがために相手の主張や要求をそのまま受け入れてしまう人がいます。「この程度で裁判が避けられるなら」という考えもあるのでしょう。
しかし、相手側は本気で裁判を考えているとは限りません。それ以前に相手の主張はすべて正しいのでしょうか?確認もせずに丸飲みしてしまうのは会社の利益を減らすことにつながることを忘れないようにしましょう。
代理を通さずに本人に直接連絡しない
受任通知の内容が事実と異なった場合、あまりの腹立たしさに本人に文句の1つでも言いたくなるかもしれません。しかし、受任通知が届いた以上、代理人を介さずに直接連絡するのは控えましょう。
互いに感情的になれば話し合いもいい方向には進みませんし、事態を悪化させることも少なくありません。少し時間をおいて冷静になってから対応について考えるようにしてみてください。
まとめ:受任通知が内容証明郵便で届いた際の対処法と注意点
受任通知が内容証明郵便で届いたら「訴えられるのでは」「莫大な費用を要求されるのでは」と不安になるかもしれません。
しかし慌てる必要はなく、冷静になって事実確認などの「やるべきこと」を1つ1つていねいにこなすことが大切です。できれば弁護士などの専門家に依頼し、自社の利益確保に努めましょう。