債権者破産申し立てをする際、自己破産の時と比較して書類や手続きにどのような差があるのでしょうか?
債権者破産自体はあまり知られていない方法ですが、債権回収のために様々な選択肢は知っておいた方がよいでしょう。
本記事では、債務者に代わり債権者が破産申し立てをする際に必要な書類等について、詳しく解説していきます。
Contents
債権者破産申し立てに必要な書類・書式
債権者破産申し立てをする際、まず必要となるのが申立書です。
書式は以下の項目を記載しましょう。
- タイトル(破産宣告申込書)
- 申立をする日付
- 管轄の裁判所の担当
- 債務者の社名と代表者名
- 債権者の社名と代表者名
- 申立の趣旨
- 申立を行う理由
- 添付書類の内訳
申立の趣旨や申立を行う理由については、簡潔に分かりやすく記載しましょう。
添付が必要な書類
債権者が破産申立書に添付する書類は、以下の3種類です。
- 陳述書
- 商業登記簿謄本
- 債権証書
陳述書は、書証形式で裁判所に出す報告文書全般のことを指します。ここでの陳述書は、債権者が供述した内容をまとめ、署名・捺印したものです。
押印がない陳述書は無効になってしまいますので、気を付けてください。また、パソコンで作成した場合でも署名と日付は手書きで記載します。
商業登記簿謄本は、その会社や法人が実在することを証明する書類で、商号・所在地・法人としての目的・役員情報などが掲載されています。これは法務局から取り寄せて、申立書と同封しましょう。
債権証書は債権取引を証明できる書類のことです。債務者が作って債権者が保管することが一般的で、具体的には借用書などがあります。
こちら以外にも、債務者が支払い不能かつ債務超過状態であることを疎明するために、できるだけ情報を集めましょう。
申し立て手続き自体には違いはあるの?
債権者が破産申し立てをする際、債務者が行う通常の破産申し立てと異なる部分はあるのでしょうか?基本的な手続き、つまり申立者が裁判所に必要書類を提出して破産開始決定を待つという大きな流れは、特に違いはありません。
ただ、申し立てをする人が債務者以外ということで細かい部分に違いはあります。
まず、先ほども触れたように債権者破産の場合は破産法18条2項により「疎明」が必要になります。
- 債務の疎明(債権者が債務があることの疎明)
- 破産手続き開始原因の疎明(債務者が支払い不能であることの疎明)
これらが行えない場合は、申し立てが却下されることもあるのです。
また、債権者破産申立の場合は、少額管財として扱われることは稀です。管財事件には少額管財と特定管財がありますが、少額管財は手続きが簡易的で迅速に進みます。特定管財の場合は調査や手続きに時間がかかるため裁判所に納める予納金も比較的高額です。
そして予納金は申し立てをした人、つまり債権者破産の場合は債権者が支払うことになるので、注意が必要です。
債権者破産申し立ての注意点も知っておこう
債権者が破産申し立てをした場合、債務者が自発的に行ったわけではないため、必ずしも協力的であるというわけではありません。
裁判所もその判断を容易には行えず、資料提出などを抵抗されることも考えられ、手続きに時間がかかるケースもあるようです。
破産管財人が選任された以降も債務者が呼び出しを無視する、協力を拒否するといった姿勢の場合は、手続きが難儀して進まないことも多いようです。
また、それだけでなく破産法第9条に基づき即時抗告をするケースもあり、そのような場合の対応を考えても、債権者の負担が多い手続きだと言えるでしょう。
まとめ:債権者破産申立書の書式や必要書類をご紹介
いかがでしたか?今回は、債権者破産を申し立てる際の申立書の書式や、添付書類などについて紹介しました。必要書類以外にも、債務者について疎明しなければならない要素もあり、前もって入念な準備が必要となります。
そして、申立を行ったあとにもリスクはあるので、積極的に行う債権者は稀なようです。