自分が債務者ではなくでも、財産隠しや不正な財産譲渡に加担してしまった場合は、共犯となり逮捕されることはあるのでしょうか?
また、逮捕された後はどのような手続きをしなければならないのでしょうか?本記事では、実際にあった事例と共に詐欺破産罪について詳しく解説していきます。
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詐欺行為の情を知っているかどうかで変わる
債務者が財産隠し、財産の譲渡といった詐欺破産罪に該当する行為の相手となったら、一緒に罰せられるのでしょうか?共犯と判断されるかどうかは、「情」を知っていたかどうかがポイントとなるようです。
情とは、事情や本人の意思といった意味で、「債権者を害する目的があったり、制度を知りながら故意で行った行動と分かっていた」場合は共犯として処罰の対象となり得ます。詐欺破産罪の刑罰は、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金またはその両科と定められています。
詐欺破産罪で共犯者が一緒に実際に刑事告訴されることはそれほど多くありませんが、後程紹介する実例を見てみても同等の処罰が与えられるようです。
知らなかった場合はどうなるのか?
一方、不正行為と知らずに加担してしまった場合は扱いが変わるようです。例えば、夫が毎月渡してきた生活費の中に借金として借りたお金が含まれており、余った分を妻が貯金していたケースがあるとします。
このような場合は、夫が自己破産したとしても詐欺破産罪に当たらないとされています。金額がいくらかによっても扱いが変わる可能性はありますが、このようにまったく知らない、情を知っていない行為は財産隠しとして扱われません。
詐欺破産罪で逮捕されることはあるのか?
詐欺破産罪に該当する行為をしたからといって、必ずしも逮捕・起訴されるということはありません。詐欺や粉飾決算、巨額の財産隠しなどの悪質な不正を行った場合でなければ、民事での責任追及が行われ刑事事件として扱われることは珍しいです。
しかし、珍しいからといって逮捕されないというわけではありません。実際にこれまで詐欺破産罪で逮捕・起訴された事件がニュースで報じられています。
逮捕後の流れ
逮捕されると、刑事手続きを受けなければなりません。手続きの手順は以下の通りです。
- 警察での取り調べ
- 検察庁へ送致
- 検察での操作が必要な場合は拘留(最長20日間)
- 検察から起訴され刑事裁判が行われる
- 刑罰が下される
刑事裁判が開かれるのは、検察により起訴された場合のみです。起訴に相当しないと判断された場合は不起訴処分で即日釈放されます。
詐欺破産罪共犯で逮捕された例も
実際に、詐欺破産罪の共犯で逮捕された事例もあります。2005年に、破産宣告受けた不動産会社元社長に弁護士が資産隠しの指示をした事件がありました。これは、元社長が破産宣告後に手にした土地の売却代金1億円を、債務の支払いに使用したと装うよう指示したという内容です。
法曹たる弁護士自らが不正行為を指南したとあって、大きな問題となりました。詐欺破産罪で告訴され、懲役2年の実刑判決が下されました。指示に従った元社長も同じ罪で2年の実刑が確定しました。この事件は珍しいケースですが、悪質な財産隠しをするとこのように刑事告訴される可能性はあります。
まとめ:詐欺破産罪の共犯となったら逮捕される?その後の流れも解説
詐欺破産罪は、債務者だけでなく相手方も当事者となる可能性があります。通常、個人の範囲であれば逮捕までには至りませんが、隠した財産が巨額の場合や、悪質で事件性が高い場合は逮捕・起訴されることもあります。逮捕された場合は、共犯だからといって罪が軽くなることはないようです。
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