自己破産を行うと、様々な権利が法的に制限されることになります。例えば、職業・資格の制限などが該当しますが、その制限を解除し権利を回復することを「復権」と呼びます。
このページでは、破産者を本来の法的地位に戻す制度である「復権」について、その効果や復権を得る方法について詳しく解説していきます。
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自己破産における復権の種類は2つ
自己破産を行うと、以下のような様々な法的制限を受けることになります。
・居住制限
・通信の秘密の制限
・職業・資格の制限
これらの制限は破産後もずっと継続するわけではなく、復権することで解除されます。
そんな復権ですが、大きく分けて2つの種類があります。
・当然復権
・申立てによる復権
それぞれ詳しく見ていきましょう。
当然復権
当然復権とは、法定事由の発生によって復権が認められるケースを指します。つまり、条件が整えば自然に権利が回復するというパターンです。
重要なのが復権に必要な「法的事由」の発生ですが、これには以下のようなものが挙げられます。
- 免責許可の決定が確定したとき
- 破産手続廃止決定が確定したとき
- 再生計画認可の決定が確定したとき
- 破産手続開始決定後に、詐欺破産罪の有罪判決を受けずに10年が経過したとき
上記のいずれかに該当する場合、復権が認められます。
申立てによる復権
申立てによる復権とは、言葉の通り破産者が「申立て」を行うことで権利の回復が認められるケースを指します。
自己破産で免責許可を得ることができなかったが、「借金を完済した」「借金が消滅時効にかかった」「債権者が債務を免除したことにより返済義務がなくなった」「相続で財産が入って返済ができた」などのケースで申立てによって復権することが可能です。
自己破産によって一時的に資格が必要な仕事をできなくなってしまう
自己破産によって制限を受けるのは主に「資格」に関することです。復権によってどのような効果が生じるかについては各資格の法令によって異なりますが、破産者の資格制限が解除されることには違いありません。
すなわち、自己破産によって一時的に資格が必要な仕事をできなくなってしまいますが、復権によって職場復帰することができるでしょう。
復権までにどれくらいの期間を要するのか
自己破産をしてから復権までにどれくらいの期間を要するのか?という点ですが、裁判所より免責許可が下りれば3ヵ月~6ヵ月程の期間で復権を得ることが可能です。
免責の許可が下りずに、債権者の同意による破産手続廃止にもならなかった場合には、より長く期間を要することもあります。しかし大半は、自己破産をしてから3ヵ月~6ヵ月で復権できますので、おおよその期間として覚えておきましょう。
自己破産後に復権を得る方法をおさらい
自己破産後に復権を得る方法についておさらいしていきましょう。
復権の多くは、「免責許可の決定」によって復権します。その他にも先述したように復権が認められる法的事由はありますが、基本的には免責の決定によって自然と復権が得られるケースがほとんどです。
「申立てによる復権」に関しては、免責許可の決定を受けてから破産者が破産裁判所に申立てを行うことで復権が認められます。
まとめ:自己破産後の復権とは?意味や復権を得る方法についてご紹介!
自己破産をすると行政書士や公認会計士、社会保険労務士など、様々な職業の資格で制限を受けることになります。
この権利の制限はずっと続くものではなく、一定の条件を満たしたり、申立てを行ったりすることで回復できるので、復権の仕組みについてよく理解しておきましょう。