新型コロナウイルス感染症の影響で、資金繰りに困窮する事業主が増えていますが、日本でもさまざまな資金繰り支援策が打ち出されています。
本記事では、主な資金繰り支援内容や、資金繰り支援策の現状と課題をご紹介します。
資金繰り支援制度の支援内容一覧
事業者の資金繰りのために、さまざまな支援策があります。以下に主な支援策を表にまとめたので、ご参考にしてください。
貸付期間 | 融資限度額 | 金利 | 概要 | |
---|---|---|---|---|
日本政策金融公庫及び沖縄公庫による新型コロナウイルス感染症特別貸付 ※特別利子補給制度を併用することで実質的に無利子になる | 設備20年以内、運転15年以内。 うち据置期間は5年以内。 | 中小事業6億円(拡充前3億円)、国民事業8,000万円(拡充前6,000万円)。 | 当初3年間は基準金利▲0.9%、4年目以降は基準金利。 ※8月3日時点、貸付期間5年、信用力や担保の有無にかかわらず一律。 | 信用力や担保に関わらず、一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施。 据置期間は最長5年。 各公庫の既往債務の借り換えも可能。 7月から融資限度額と利下げ限度額の引き上げを実施。 |
商工組合中央金庫による危機対応融資 ※特別利子補給制度を併用することで実質的に無利子になる | 設備20年以内、運転15年以内。 うち据置期間は5年以内。 | 6億円 (拡充前3億円)。 | 当初3年間は基準金利▲0.9%、4年目以降は基準金利。 ※8月3日時点、貸付期間5年、信用力や担保の有無にかかわらず一律。 | 信用力や担保に関わらず、一律金利とし、融資後の3年間まで0.9%の金利引き下げを実施。 据置期間は最長5年。 商工組合中央金庫による危機対応融資の既往債務の借り換えも可能。 7月から融資限度額と利下げ限度額の引き上げを実施。 |
日本政策金融公庫及び沖縄公庫による新型コロナウイルス対策マル経融資 ※特別利子補給制度を併用することで実質的に無利子になる | 別枠1,000万円 | 経営改善利率1.21%(8月3日)より当初3年間、▲0.9%引下げ | 商工会議所・商工会・都道府県商工会連合会の経営指導を受けた小規模事業者に対して、日本政策金融公庫などが無担保・無保証人で融資を行う制度。 | |
特別利子補給制度 (実質無利子) | 補給対象貸付上限: 中小事業・商工組合中央金庫など2億円(拡充前1億円) 国民事業4,000万円(拡充前3,000万円) | 利子補給期間: 借入後当初3年間(最長) | 日本政策金融公庫などの「新型コロナウイルス感染症特別貸付」「新型コロナウイルス対策マル経融資」もしくは商工組合中央金庫による「危機対応融資」による借入を行った中小企業者などのうち、売上高が急減した事業者などに対して、最長3年間分の利子相当額を一括で助成。 | |
セーフティネット貸付の要件緩和 | 設備15年以内、運転8年以内。 うち据置期間は3年以内。 | 中小事業7.2億円、国民事業4,800万円 | 基準金利: 中小事業1.11% 国民事業1.91% ※8月3日時点、貸付期間5年、信用力や担保の有無などにより変動 | 2月14日より、セーフティネット貸付の要件を緩和し、「売上高が5%以上減少」といった数値要件にかかわらず、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象。 |
引用:https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf
上記の表でご紹介したはじめの3つについては、融資対象は新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、「最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少した方」などで、特別利子補給制度と併用して利子補給の助成を受けると、3年間は実質的に無利子です。
セーフティネット貸付は基準金利のままで金利引き下げはないですが、融資対象について売上高の減少などの要件はなく、今後の影響が見込まれる事業者も含めて融資対象になっています。
資金繰り支援制度の現状と今後の課題
上記の表にまとめてご説明したように、さまざまな企業資金繰り策が打ち出されています。
制度の複雑さや手続きの煩雑さゆえに、実際に企業が資金を手に入れるまでに時間がかかっていると言われており、日本政策金融公庫の場合、申込みから融資の実行までに1ヵ月ほどかかるとされています。
民間金融機関の場合、融資の実行までに1ヵ月以上かかることもあります。
新型コロナウイルス感染拡大により、日本企業が想定を上回るスピードで影響を受けたので、日本政府の対応が後手に回ってしまった感があります。
企業への支援策に関しても、過去の危機対応に倣った対応から始まり、支援対象の拡大や保証・貸付枠の拡大、その後また新たな制度が創設され、支援が次々と追加で投入されてきました。
その結果、支援策が重なって制度も複雑になっていますが、支援を必要としている人に支援策が活用してもらえるように、分かりやすい広報を行っていく必要があります。
支援策の課題について
政府系の金融公庫や民間金融機関による無利子・無担保の融資の開始や、事業者に対する現金の給付など、感染拡大に伴う深刻な影響に対応して支援策が拡大されていきましたが、こういった支援が事態の長期化に対応できるかは不明です。
相談窓口への問い合わせが殺到し、現場の対応が間に合っておらず、融資や給付金を受け取るまでに時間がかかり過ぎているという報道もありました。
不正受給を防止する対策も講じる必要がありますが、受給までのプロセスを簡略にし、早急に支援が実施できるようシステムを構築していく必要があります。
まとめ:資金繰りに行き詰った際の支援策をご紹介!
いかがでしたか?今回は、主な資金繰り支援策の内容を表にまとめましたので、ぜひ目を通してみてください。
融資対象についてもよく確認する必要がありますが、特別利子補給制度と併用できれば、実質的に無利子です。
融資対象に該当しない場合でも、セーフティネット貸付の要件が緩和されていますので、資金繰りに困っていて融資が必要でしたら、セーフティネット貸付を検討してみるといいでしょう。