リストラは経営難の企業にとって、立て直しに有効な手段というイメージがあります。
確かにその通りではありますが、メリットだけではなくデメリットも存在し、やり方によってはデメリットばかりが大きくなることも考えられます。
そこで今回は、経営におけるリストラのメリットとデメリットについて解説していきます。
リストラを決断する前に、もう1度リストラの必要性について考えてみてください。
Contents
リストラは経営立て直しにプラスになるとは限らない
リストラは経営立て直しのためにやむを得ず決断するものですが、実際には立て直しに有効な手段となるかどうかはリストラするだけではわかりません。
なぜなら、リストラで得たメリットを活かすことができなければ、打開策とはならないからです。
経営者としては、リストラの影響を熟知したうえで最終的な決断をするのが望ましいでしょう。
経営におけるリストラのメリット
では実際にどんなメリット・デメリットがあるのか、まずはメリットから見ていきましょう。
人員削減による必要経費の低減
リストラで従業員は少なくなりますから、それに伴い支払う給与をはじめ、ボーナス・福利厚生関連費・交通費など、さまざまな費用をカットできます。
また、人数分の作業スペースが空くため、場合によっては一部のオフィスや工場などの閉鎖も可能になり、賃料も浮くかもしれません。
このように浮いた支出は借入金の返済に充てたり、外部への支払いに充てたりと、どう使用するかは経営者に委ねられます。
うまく使えば健全な経営に大きく舵をとれますが、判断を間違えればリストラの効果は薄れますので、経営者の手腕が問われるところといえるでしょう。
社員の質の向上
リストラの対象は、公平かつ妥当な理由の下で選出します。
つまり遅刻が多い、問題行動があったなど、何かしらの問題を抱えていた社員が中心となるわけです。
これに伴って意識の高い従業員のみが残ることによってやる気が出たり、質の向上により業績がアップしたりと、部署によりさまざまな効果が期待できます。
銀行からの評価がよくなる
銀行の評価がよければ融資が受けやすくなるため、会社を経営するうえでその評価は重要です。
とくに経営の立て直しを図っているときは、銀行からの融資が生命線になることもあるため、常に評価は気にしなければなりません。
銀行は数字で経営の良し悪しを判断するため、リストラをおこなうことで必要経費が相当浮いて、評価がよくなるのが一般的です。
経営におけるリストラのデメリット
リストラのデメリットについては、とくに認識しておく必要があります。
なぜなら、経営立て直しのためのリストラが、再建の足を引っ張ることにもなりかねないからです。
会社のイメージダウン
リストラは業績悪化を公表しているのも同然ですので、会社のイメージダウンはまぬがれません。業種によって影響の大きさに違いはありますが、リストラの過程で従業員とトラブルがあれば、SNSで誹謗中傷が拡散される可能性も視野に入れなければならないでしょう。
取引先との関係にも注意が必要で、リストラした従業員が担当先の社長と懇意にしていた場合などは、取引に直接の影響が出ることもゼロではありません。
貴重な人材の流出
リストラ対象は、給与の高い中高年が主軸となることが多いです。この年代は経験豊富で、部下の取りまとめやメンタルのケアなど、実績には結び付きにくい重要な役割を担っているケースが多くあります。
このような貴重な人材の流出は、ある程度は見込まなければなりません。
仮にリストラ対象に選ばなかったとしても、早期退職を希望するかもしれないため、流出を完全に止める方法はないのです。
メンタルへのマイナスの影響
リストラのメリットで社員の質が向上しやる気が出るとお話しましたが、一方で、メンタル面でマイナスの影響となる場合が少なからずあります。
それは個人差によるところが大きいでしょうが、リストラによって「次は自分かも」「この会社で大丈夫なのか」と不安になるのです。
不安感が周囲に伝播すれば社内全体の空気も悪くなります。
ですので、リストラを決断したときから、従業員へのメンタルケアについても検討するのがよいでしょう。
従業員減少による人手不足
従業員の総数が減るのですから、今までと同じ量の業務をこなすには無理があります。
とくに注意したいのが、従業員の負担増大です。
仕事の終わりが見えない状態では心身共に疲弊し、業務にも支障が出る恐れがあります。その結果、さらに業績が悪化するという負のスパイラルに陥りかねません。
リストラをして人手を増やすわけにはいかず、かといって売上ダウンは経営の立て直しが遅れます。オペレーションの見直しをするなど、可能な手段で負担軽減の方策を検討しましょう。
リストラそのものにも注意が必要
リストラのメリット・デメリット以前にリストラ自体も簡単なものではなく、対象者との間でトラブルが起きれば訴訟になる可能性もあります。
さまざまな可能性を想定して準備・リストラしなければ、発生したトラブルによってメリットも薄れてしまうかもしれません。
どのようにおこない、何に注意しなければならないのか事前によく確認してからリストラをするかどうか判断するのがよいでしょう。
まとめ:リストラもやり方次第?リストラのメリット・デメリットについて
リストラは経営者にとっても苦渋の決断で、やむを得ずおこなうものでしょう。
とはいえ、リストラのメリット・デメリットを十分に理解していなければ逆効果になることもあり得ます。
リストラを決める前に本当に適した手段であるのか今一度検討し、よりよい結果に導いてください。