従業員への給料を未払いのままにしておくと、労働基準監督署に処罰を求める告訴状を提出されてしまう恐れがあります。もし、告訴状が提出されてしまった場合には、どのような対処をするべきなのでしょうか?
そこで本記事では、労働基準監督署に告訴状を提出されてしまった場合の対処法や注意点を詳しく解説していきます。
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給料未払いで労働基準監督署に告訴状を提出されてしまったらどうなる?
給料の未払いがある場合、全額なのか一部が未払いとなっているのかで罰則が変わります。
また、最低賃金を超えているか、超えていないかによっても異なり、罰則は「労働基準法」によるものと、「最低賃金法」によるものの2種類があります。
労働基準法と最低賃金法に違反した場合の刑事罰は、以下の通りです。
- 労働基準法第24条:30万円以下の罰金刑
- 労働基準法第37条:6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金刑
- 最低賃金法4条:地域最低賃金を支払わなかった場合、50万円以下の罰金刑
刑事罰以外にも、給料未払いがある場合「違反企業として公表」されたり、「付加金の支払い命令」が出たりします。
給料未払いで労働基準監督署に労基法違反として申告されたら…
実際に給料未払いを犯してしまった経営者の方は、その後どのような対応を取るべきなのでしょうか?
ここからは、経営不振や自然災害によって給料未払いとなってしまった場合の対処法と注意点を解説します。
対処法
労働基準監督署に告訴状を提出したと伝えられても、その行為だけでは刑事処罰に結びつきません。
刑事告訴の告訴状が受理されるのは、
- 調査・操作が進展
- 刑事事件として摘発するに値すると判断
- 証拠関係も間違いないと判断
上記の段階で初めて受理されます。
労働者が告訴状を提出しただけの場合は、未払い給料を従業員へ支払い問題解決すれば、労働基準監督署が介入してくることはありません。
また、従業員が労働基準監督署に相談すると、未払い給料に関する電話が入ります。
この電話は、当事者間で問題解決すれば労働基準監督署で問題視しないというメッセージでもあるため、連絡が入ったらすぐに問題解決するようにしましょう。
もし支払うのが困難な状況にあっても支払い義務を認め、分割払いを誓約する念書などを従業員に差し入れるなど、誠実な対応を心がけましょう。
注意点
従業員が労働組合に加入している場合、給料未払いについて団体交渉の申し入れを受ける可能性もあります。団体交渉は応じる義務があるため、経営者は拒否することはできません。
万が一拒否すれば、「不当労働行為」として労働委員会から交渉に応じるように命令される、または損害賠償請求の対象とされる危険性があります。
さらに、労働基準監督署からも悪質だと認識される可能性も考えられます。
ただし、団体交渉は交渉を拒否できないというだけで、従業員側の要求を必ず飲まなければならないということではありません。
労働基準監督署による立ち入り調査がある場合
労働基準監督署が立ち入り調査をスタートした場合、早急に対応することが重要です。
未払い給料の問題を解決することも重要ですが、行政指導の主な目的は是正だけではなく、再発防止も含みます。
そのため、未払い給料となった経緯・原因の把握、今後の防止策を講じる対応を示すことも大切です。
まとめ:給料未払いで労働基準監督署から告訴されないための対処法
給料未払いで労働基準監督署が介入しそうな場合、なるべく早く対処することが大切です。
もし給料未払いを後回しにし、送検・公表・刑罰まで受けてしまうと、会社の信用は落ちてしまい人材も集まりません。最悪の事態を避けるためにも、未払い給料がある場合には、早めに問題解決にあたりましょう。