2020.10.7

資金繰りと倒産の関係性とは?なぜ黒字倒産が起きるのか

「事業が黒字で安心しているがそれでも倒産することはあるのだろうか…」

「黒字倒産は本当に起こることはあるのだろうか…」

このような疑問をお持ちの方はいらっしゃいませんか?

黒字と聞くと事業運営において問題のないように思えますが、実際に黒字でも倒産するのでしょうか?

本記事では、黒字倒産が起きる理由や具体的なケースについて解説し、併せて黒字倒産を防ぐためのポイントについてもご紹介します。

黒字倒産が起きるのはなぜ?

まずは、黒字倒産が起きる理由について見ていきましょう。

黒字倒産というのは、その名の通り収益が上がって黒字であるにもかかわらず、倒産してしまう状態を意味します。

黒字倒産は後継者がいないなど事業存続に困難が生じて起きる場合もありますが、大半は資金ショートが原因です。

損益計算書では、1年間の期末までの売上高や費用から、利益を出して記載します。

こういった会計上の事実の発生によって認識することを、「発生主義」と呼びます。

一方、入金や出金など現金の動きで収益や費用を認識することを「現金主義」と呼びます。

発生主義だけに基づいて経営を続けていて、「現金主義」をないがしろにしていると、現金の出入りがなくても収益や費用を認識してしまい、収益から費用を差し引いた利益が実際に手元にある資金と一致しないことも起こり得ます。

そういった場合に黒字でも「資金ショート」が起きてしまい、その状態が長く続くと、倒産に至ってしまうのです。

黒字なのに倒産してしまうケースとは

起業したばかりの事業主は利益を上げることに執着してしまいがちですが、資金繰りがうまくいかないと、いくら売上があっても黒字倒産の可能性があります。

続いて、黒字でも倒産するケースについて、具体的に見ていきましょう。

黒字倒産の具体例

ある会社の月の売掛金が400万円、費用や借入金などの支出が300万円、預金残高が200万円あったとします。

売掛金400万円の回収より支払いの300万円の方が先に発生した場合、会社の預金は200万しかないので、資金ショートに陥ってしまい支払いが期日通りにできません。

このような場合に黒字倒産が起きてしまいますが、逆に赤字だったとしても資金繰りによって支払いが期日通りにできていれば、倒産しません。

資金繰りができれば倒産しない

資金繰りの方法としては、借り換えによる資金調達、ビジネスローンによる資金調達、借入先に返済期日を延ばしてもらう、取引先に支払期日を延ばしてもらうなどがあります。

赤字でも資金繰りができれば倒産しないのですから、黒字なのに倒産してしまうのは非常に残念なことです。

黒字で売掛金の回収より支払いが先に発生してしまう場合は、資金繰りさえうまくできれば、倒産は回避できるはずです。

黒字倒産しないために見ておくべきポイント

決算書には、貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つがありますが、この3つと資金繰りの関係について見ていきましょう。

貸借対照表には、資産と負債、資産から負債を差し引いた資本(純資産)が記載されます。(貸借対照表には、会社の財政状況が表れています)

一方、損益計算書には利益と損失が表れていますが、実際の現金の動きは正確に表れていません。

損益計算書で利益が出ていると思って安心するのではなく、支出も併せて確認し収支に注意を払っておくことが重要です。

現金の収支の情報が如実に表れるのが、キャッシュフロー計算書です。キャッシュフローが赤字になっている場合は、収入以上に支出があるという意味ですから、要注意です。

キャッシュフロー計算書は貸借対照表や損益計算書とは違い、細かくお金の流れに注目している決算書です。中小企業の場合、キャッシュフロー計算書は「資金繰り表」で代用されることもありますが、キャッシュフロー計算書と資金繰り表は基本的に同じ働きをします。

キャッシュフロー計算書や資金繰り表が大切

資金繰りについて考える上では、キャッシュフロー計算書や資金繰り表が最も重要です。

常に現金の流れに気を配りながら、支払期日までに支払いをしていくことで、黒字倒産を回避することができます。

まとめ:資金繰りと倒産の関係性とは?なぜ黒字倒産が起きるのか

以上、黒字倒産が起きる理由や具体的なケースについて解説し、黒字倒産を防ぐために見ておくべきポイントについてもご紹介しました。

黒字倒産を防ぐためには、常に資金繰りの悪化に気を配ることが重要です。資金繰りの重要性についてもご説明しましたので、資金繰りを改善して黒字倒産を回避しましょう。

あなたにおすすめの記事

よく読まれている記事

この記事を見た人はこんな記事も見ています

会社倒産手続き.comをご覧の皆様へ

会社倒産手続き.comは、倒産〜復活にかけての道標を示すメディアです。経営者が第二の挑戦をすることを前提に、「終わり方」について参考となるデータと情報を提供していき、倒産〜復活のフローに関して、様々な道筋での援助方法ご提案します。

無料相談はこちら