法人が不動産を売却したなら、その動きを帳簿に計上する会計処理が必要です。
不動産の取引には、仲介手数料や消費税などいくつかの要素が含まれ、会計処理方法は取引や法人によって細かに異なります。
そこで本記事では、法人が不動産を売却したときの基本の考え方と仕訳方法について解説していきます。
Contents
不動産を売却したらときの税金・基本の考え方
不動産の売買取引には基本的に消費税が課せられますが、個人が居住用の不動産を売却した場合について、消費税は課せられません。
ただし、投資目的などで個人が所有する不動産については消費税の課税対象であり、個人であれば分離課税として取り扱われます。
法人が不動産売却するに際して
法人が不動産を売却するのであれば、事業活動の一環とみなされますので消費税の対象となり、買い手が支払い、売り手がそれを預かって納税するという流れとなります。
そして法人の場合、不動産売却による収益も包括して課税の対象であるため、損金などを用いて節税することができます。
法人が不動産売却をする際に知っておくべきこと
売却不動産について法人に課税される消費税は、建物についてのみ対象で土地にはかかりません。そのため、仕訳等を行うときも建物分と土地分を分けて計上しておく必要があります。
なお、法人が不動産を売却したときの消費税は、2期間前の課税売上が1,000万円に達しない場合は免税扱いなどがありますので、自社があてはまるのかを売却前に確認しておくとよいでしょう。
法人が不動産売却したときの仕訳について
法人が不動産を売却したときは会計処理が必要です。
売却の日について
まず、売却の日についてですが、不動産の売買は、契約の締結、支払い、引き渡しなどいくつかの期日があります。
そのうちで、売却日となるのは原則的には不動産を引き渡した日です。※特例で、不動産売却締結を履行した日が売却日と認められることがあります。
会計処理日によってその年の収益や税額に影響しますので、理解しておきましょう。
勘定科目について
次に勘定科目についてですが、不動産を売却したときは売上勘定ではなく、「固定資産売却損益」を使って計上します。
売却価格から簿価を引いた額がプラスである場合は「売却益」として計上し、売却価格から簿価を引いた額がマイナスであるなら「売却損」として計上します。
注意点としては、
- 土地と建物のそれぞれで算出して会計処理を行う
- 売却時にかかった仲介手数料は、課税仕入れとなる
- 上限と消費税が含まれているかどうかを確認した上で「支払い手数料」として計上する
というポイントがあります。
投資用物件を不動産売却した場合の計上と注意点
売却しようとする不動産が投資用の物件である場合、確認しなければならない事項があります。
前受けしている賃料等について
駐車場や賃貸物件であれば一般的に賃料は前払いと設定されており、すでに受け取っている賃料があれば、売主は買い手にその分を支払い清算することになります。
建物であれば、経年によって下がった価値を会計上で反映させておきましょう。減価償却をして損益として計上します。
会計処理に抜けや不備があると税金額に影響するなど問題が生じますので、確認の上確実に記載しておくことが重要です。
まとめ:法人の不動産売却・取り扱いと仕訳方法を徹底解説
いかがでしたか?今回は、法人の不動産売却について基本の考え方や、具体的な仕訳方法についてご紹介しました。
会計上の取り扱いは、土地と建物を分けて考え、費目は「固定資産売却損益」を使います。
不動産の売却は、税金に関する取り扱いや、買い手とのやり取りなどに影響しますので一点ずつ確認しながら丁寧に処理を実行していきましょう。
税金の特性や自社の一年間の収益などを考慮して、不動産の売却は計画的に行うと上手に進めることができます。