リストラは対象となる従業員はもちろんのこと、会社側もとても苦痛を伴うもので、仲間にリストラを伝えることに、罪悪感を覚える人もいます。
しかしリストラのやり方次第では精神的な負担を軽くし、円満リストラとでもいえるような関係で終わらせることもできます。
そこで本記事では、「従業員の理解を得られるリストラの方法」について解説していきます。
今まで一緒に働いた仲間へのねぎらいも込めて、できるだけ円滑に進められるよう準備しましょう。
Contents
従業員の理解は踏むべき手順に沿うことから
リストラを従業員に理解してもらうのは簡単なことではありませんが、工夫次第で従業員の理解を得やすくなる場合があります。
では、具体的にはどのようにすればいいのでしょうか。
リストラは「整理解雇」
本題に入る前に、リストラを正しく理解するための「整理解雇」について知っておきましょう。
整理解雇とは、会社が必要に迫られて再建のためにおこなう人員削減です。
そのため、リストラ対象者に退職を強要することはできず、対象者にも従う義務はありません。会社としては現状を理解してもらい、退職に応じてもらうようお願いする立場となります。
リストラ決定からリストラ実施までの流れ
では、本題である「リストラ決定からリストラ実施」までの流れを見ていきましょう。
リストラは、回避する努力をしても他に有効な手段がなかった場合に認められます。
そのため、リストラに移る前に役員報酬のカットや採算の取れない事業の縮小や撤廃、助成金の利用などを実施してはじめてリストラができます。
人員に関しても、リストラの前に契約社員やパートなど正規雇用でない人員の契約を終了するのが順序としては先です。
さらにリストラ前に希望退職者を募り、それでも目標人数に達しなかった時にリストラを決断することになります。
- 早期希望退職者を募る
- 希望退職者が目標人数に達しなかったためリストラを決断する
- リストラの方針(選定者の基準や期限、退職金などの対応)を決める
- 対象者にリストラに至った経緯や会社の方針などを伝えて理解を得る(リストラ面談)
- あらかじめ決めていた期限にリストラを実施する
リストラが認められるには、このようなステップを踏まなければなりません。
リストラはあくまでも最終的な手段であり、このような段階を経ることで従業員にも「他に手段がない状況」と理解してもらいやすくなります。
丁寧な説明で理解を得る
リストラ実施までの過程でもっとも重要なのは、④のいわゆるリストラ面談です。丁寧に説明をし、生まれる悩みをできるだけ解消することで、従業員も納得しやすくなります。
所属部署によっては、会社の経営状況が悪化していることの実感がない可能性もあるため、開示できる情報はできるだけ多く用意しておきましょう。
対象者は大きな不安を抱えることになりますので、面談では心のケアにも十分な配慮が必要です。
心象をよくするスムーズで漏れのない手続き
できるだけ円満にリストラするには、手続きもスムーズに漏れなく進める必要があります。
リストラ対象者は今後の生活に不安を抱え、再就職先を探すなど時間にも心にも余裕がありません。
手続きに手間取るとやり場のない気持ちが会社への不満を大きくしてしまうため、せめてストレスなく手続きを進められるようにしましょう。
リストラ対象者に必要な手続き
おこなうべき手続きのなかには、対象者の今後の生活に関わるものもあるため、漏れがあってはいけません。
場合によっては不当解雇にもなりかねないため、チェック表を作成するなどして対策しておくとよいでしょう。
- 健康保険と厚生年金の脱退
- 住民税の特別徴収の停止
- 失業保険に関する手続き(離職票など)
- 源泉徴収票の交付
- 最後の給与の支払い
- リストラに関連する手当の支払い
- 退職金の支払い など
要請があれば、解雇理由証明書も用意する必要があります。
手続きに不慣れな対象者のために、退職後に必要な手続きをまとめた書面なども用意しておくとよいでしょう。
中には退職後に転居する人もいるかもしれませんので、後で郵送する書類などがある点も伝え、転居先を連絡してもらうのも忘れないようにしてください。
リストラ後の生活にも心を寄せる
リストラ対象者には同情するのではなく、相手のために何ができるのか、リストラ後の生活は大丈夫なのかと心を寄せることは大切です。
とくに再就職先のあっせんや失業保険の手続きなどは、相手の立場になってアドバイスすることで「ここまでやってくれた」「この会社が存続できるなら」と、相手も心を寄せるようになるからです。
具体的には再雇用先をあっせんするサービスとの契約を検討するなど、会社としてできる範囲内で、今まで勤めてくれた従業員に感謝の気持ちを伝えてはいかがでしょうか。
まとめ:従業員の理解を得られるリストラの方法とは?円満リストラの秘訣について
いかがでしたか?今回は、従業員の理解を得られるリストラの方法について解説してきました。
リストラは、勧告する側もされる側も痛みを伴うものですが、企業側はできるだけ従業員の負担を緩和して円満に進めていく必要があります。
今回の内容を参考に、従業員の立場を考えながらしっかりと手順を踏んで、再建を図っていきましょう。