リストラでの人員削減は、対象者の選定や再就職先のあっせん、残留社員の心のケアなど、大変な作業がいくつも重なります。
そのなかでとくに重要なのがリストラ面談で、リストラ対象者に退職の同意をもらわなければなりません。ここでつまずくと経営がさらに厳しくなり、場合によっては訴訟に発展する可能性もあります。
そこで今回はリストラ面談について、「面談に向けて用意するもの」や「面談での注意点」などについて解説します。
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リストラ面談とは?
リストラ面談とは、選定したリストラ対象者にリストラの意向を伝え、退職への同意を得ることを指します。
リストラ面談したからといって退職に応じるとは限らず、面談の結果がリストラの成功を左右するといっても過言ではありません。
近年ではリストラにまつわる訴訟も増え、会社にとっても担当者にとっても神経を使う問題になっています。
リストラ面談までの流れ
リストラ面談は、いきなり対象者を呼びつけておこなうものではありません。一般的な流れは次の通りです。
- 希望退職者を募る
- 人員削減の目標に達しなかった場合はリストラ対象者を選定
- リストラ対象者と面談し、退職勧奨を実施する(リストラ面談)
- 退社に応じなかった社員に対して再度面談し、話し合いを重ねることで退社への理解を得る
実際には残留してもらいたい社員とも面談し、会社としての意向をそれぞれに伝えることになります。
リストラ面談でおこなう退職勧奨とは本人の意思で退職するように促すことで、解雇(クビ)とは異なります。
また、退職推奨は法的にも認められた行為ですが、度を超えた行為は退職を強要したとして違法行為になる可能性があるため注意は必要です。
リストラ面談用マニュアルの作成と盛り込むべき内容
リストラ面談は対象者が多く時間もかかるため、社長ではなく対象者の直属の上司や所属部署の責任者などが会社の代表として実施することになります。
そのため、多くの会社がリストラ面談用にマニュアルを用意しています。
次はマニュアル作成時に盛り込むべき内容と、マニュアルを作成する意味について考えてみましょう。
リストラ面談マニュアルが必要な理由
リストラ面談をするのは、労務に関する知識や経験に乏しい人が行う場合もあります。ですので、リストラ面談で違法行為がおこなわれないよう、マニュアルで徹底する必要があるでしょう。
またリストラが珍しくなくなり、リストラ対象となる側の人も自分の利益を守るために対策を取るようになりました。
レコーダーを忍ばせてリストラ面談の内容を記録したり、面談の内容を書面で残したりといった対策を講じています。
リストラ面談マニュアルには、不用意な発言で担当者が非難の的にならないよう、相手側の対策から守る意味合いもあるといえます。
リストラ面談マニュアルに盛り込むべき内容
リストラ面談のマニュアルには、次のような内容を盛り込みます。あくまでも一例ですので、必要に応じて変更するようにしてください。
- 面談で話さなければならない事柄(リストラ実施の理由、選定の理由、再就職先のあっせんなど相手に対して会社ができること、退職に応じなかった場合の扱いなど)
- 想定できる質問への回答
- 対象者の反応に対しての対処法(激高した、泣かれたなど)
- リストラ面談で言ってはいけないこと、やってはいけない態度など
- 違法行為(リストラハラスメント)の具体例
- リストラ面談の意義・目的
- リストラ面談での担当者の立場 など
リストラ面談の流れや話し合う内容だけでなく心構えや注意すべき発言、困ったときの対処方など、あらゆることを想定して作成し、無用なトラブルは事前に防ぐようにしましょう。
また、マニュアルは配布するだけでなく一同に会して内容を確認し、誰が担当しても同じ対応になるようにしましょう。
リストラ面談での注意点
リストラ面談ではさまざまなことに配慮が必要ですが、とくに重要なポイントがいくつかあります。
会社の意向を正確に伝える
リストラ面談は担当者個人の気持ちとは関係なく、会社の代理で実施します。
しかし、中には面談中に個人的な感想や解釈を盛り込んでしまう人がいます。これは会社の意向と勘違いされかねず、トラブルに発展する可能性は高くなるでしょう。
同じく、気を遣って遠回しな言い方をするのも誤解を生みやすくなります。
個人の考えや気持ちはリストラ面談に持ち込まないよう指導し、会社の意向を正確に伝えることを徹底しましょう。
特別な事情を抱えている社員は専門部署に任せる
リストラ対象者もさまざまです、中には特別な事情を抱えた人もいるでしょう。
重い病気を抱えている人、メンタルに不安を抱えている人などはデリケートな問題も含みますので、リストラ面談は専門部署に担当してもらうほうが安心です。
また、育児休暇など長期的な休暇を申請している場合も、手続きなどで問題が生じる可能性があるため、専門部署に一任するとよいでしょう。
外部との連携に要注意
専門家に相談している、あるいは面談中にそのようなニュアンスを受けた場合は、慎重に対応しなければなりません。
それは、対立も辞さない構えだと考えられるからです。何気なくかけた言葉が後々問題になることもあるため、担当者は注意が必要です。
まとめ:リストラ面談とは?マニュアルの作成と注意点について解説!
リストラ面談は、リストラ実施において重要な局面であると同時に、担当者の負担が大きいものです。
経営者としてはマニュアル作成で担当者の負担を少しでも軽くし、トラブルを未然に防ぐよう準備しましょう。