2020.10.2

破産財団とは?定義や考え方を具体的に解説!

破産について調べていくと、破産財団という言葉を目にする機会が多くなっていきますが、その言葉の意味を皆さんは理解されているでしょうか?

このページでは破産手続きをする上で必要な知識となる、破産財団について詳しく解説していきます。

破産財団について

破産法によると「破産財団」は下記のように定義されています。

破産法 第2条14号

この法律において「破産財団」とは、破産者の財産又は相続財産若しくは信託財産であって、破産手続において破産管財人にその管理及び処分をする権利が専属するものをいう。

引用:電子政府の総合窓口「e-Gov」破産法

条文を読むと「破産者の財産」を指す言葉であり、破産手続を行うにあたって、破産管財人に管理・処分する権利が与えられるものであることが分かります。

自己破産をする際、裁判所から選任された破産管財人が破産者の財産を管理し、換価処分することで債権者への配当に充てていきます。

この債権者への返済に充てるために処分される破産者の財産のことを、「破産財団」と呼ぶのです。

自己破産をすると債務が免責されるため、債権者にとっては大きな被害を受けてしまいます。

債権者の利益を守るためにも、破産者の財産を処分し、返済に充てるという手続きが重要なのです。

「財団」と聞くと何らかの組織や機関を想像してしまいますが、あくまで「処分すべき破産者の財産の総体」を指す言葉となります。

破産財団に含まれる財産の定義は?

法律の条文からは、破産財団に含まれる財産として「破産者の財産」「相続財産」「信託財産」などが挙げられています。

では、より具体的に破産財団に組み入れられる財産にはどのようなものがあるのか?その要件を見ていきましょう。

  • 換価処分が可能な財産である
  • 破産手続開始時に所有している財産である
  • 差し押さえが可能な財産である
  • 現金は99万円を超える部分のみ
  • 自由財産の拡張が認められたものではない
  • 破産管財人が破産財団から放棄したものではない

破産財団は債権者への配当に充てることを目的としているため、全てにおいて金銭的な価値に置き換えられる(換価処分が可能)ことが求められます。

現金や預金はもちろん、不動産や自動車などの動産も破産財団に含まれます。

ただし、破産者から全てを取り上げてしまうと生活が立ち行かなくなってしまうため、一定以内の現金(99万円以内)や生活必需品(衣服・寝具・家具)などは破産財団に含まれません。

このようなものを自由財産と呼ぶのですが、自由財産は破産管財人が処分できない財産として、破産者の手元に残すことが認められています。

破産法における破産財団の考え方

前述のように、破産財団は破産手続において不利益を被る債権者の利益を守るための制度です。そして、破産者の財産を処分し、債権者への返済に充てることで免責による不利益を最小限に抑えることができます。

破産法の目的には破産者の経済的更生も含まれているため、破産財団に含めるかどうかの線引きを制度によって規定することで、債権者の利益を守りつつ、破産者も生活再建を可能にする配慮がなされているのです。

このように破産財団は、破産法において債権者・破産者双方の利益を守るために重要な意味合いがあります。

まとめ:破産財団とは?定義や考え方を具体的に解説!

今回は、破産財団について詳しく解説してきました。破産財団と聞くと、何らかの機関や組織をイメージされたかもしれませんが、実際には破産者の所有する換価処分可能な財産の総体を指す言葉であるということでした。

制度によって線引きを規定することで、債権者と破産者の利益を守ることを目的としています。何が破産財団に含まれて、何が含まれないのか、今一度把握しておきましょう。

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