「資金繰りが悪化しており税金を滞納してしまっている…」
「税金の支払いは遅れてもきっと大丈夫だろう…」
このような方もいらっしゃるかもしれませんが、税金の滞納を甘く見てはいけません。税金の滞納により差押を受け、経営破綻になってしまうこともあるので、経営者たるもの税金については深く理解しておく必要があります。
そこで本記事では、税金の差押をテーマに、滞納してしまった場合にはどのようになってしまうのかを解説していきます。
Contents
税金の差押について
税金を滞納すると財産を換価処分され、税の滞納分に充当されます。差押の対象となる財産は、不動産・自動車・有価証券・家賃収入・売掛金・動産など換価処分できるものが挙げられます。そして、差押を執行するのは、国税の場合は税務署員で地方税の場合は自治体職員になります。
どれぐらいの滞納で差押になる?
税金を滞納したからと言って、すぐに差押となることはありません。まずは、納付期限から1ヵ月程度が経つと督促状が送られてきます。督促状の送付にあわせて電話連絡がきたり、直接担当者が訪れることもあります。法律上は督促状を発送した日から10日を過ぎると財産を差押できると規定されていますが、実際には電話や書面で何回も催促しても納税されなければ差押となります。差押は突然実行され、原則として完納しなければ差押は解除されません。
源泉徴収税と消費税の支払いについて
法人に課せられる税金はいくつかありますが、その中でも源泉徴収税と消費税は、短期間で差押になってしまう場合があると言われています。すべての税金を支払うことはもちろんですが、特に税金の中でも源泉徴収税と消費税は優先的に支払いましょう。
資金が足りない…税金の支払いは優先すること
資金が足りない場合には、どこから先に支払いをしていくか考えていくことになりますが、税金の支払いは優先しなければなりません。消費税は短期間で差押になってしまう可能性があることを先述しましたが、徴税庁側からすれば顧客や社員から預かったもの納付するのだから、納付しないというのは横領に近しい、というロジックから厳しい納付が迫られるのです。
差押と銀行の関係について
資金ショートの中で差押を受けると、経営破綻に繋がってしまいます。差押があれば銀行に知られることになり、もし銀行に借入がある場合には期限の利益喪失になってしまいます。
期限の利益とは、「〇〇までに返済する」という約束のもと、返済期日まで債権者が待ってくれる状態のことで、それが喪失してしまうと一括で全額返済を求められます。
つまり、差押によって借入先の銀行で期限の利益喪失となれば、経営に大きく影響してしまい、経営破綻につながってしまうということです。
銀行への返済はどうすればいいのか?
税金の滞納は他の支払いにも影響してしまうので、資金が足りない場合であっても優先的に払わなければいけないということを理解していただけたのではないでしょうか?では、借入があった場合に銀行への返済はどうなのか?という点が気になるかと思います。
もちろん銀行などから借入があれば、それを返済することは大切です。しかし、税金よりも優先順位としては低めで、交渉することによって返済をリスケジュールしてもらうことができるのです。銀行側としては返済できずに倒産されるより、返済期日を変更してでもしっかり返済してもらった方がよいと考えます。1,2年の資金繰り予定表を作り、リスケジュールを受けたとしたらしっかりシミュレーションをして立て直しましょう。
まとめ:税金の滞納は差押の対象に!期限の利益喪失となり経営破綻も!
今回の内容で、税金の滞納は差押対象になり、それが銀行借入の一括返済に繋がることをご理解いただけたのではないでしょうか?資金繰りが苦しい中で、支払い関係は経営者の頭を悩ませる要因になりますが、優先すべき支払いを見定めて事業継続に励み、前を向いて進んでいきましょう。
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