経営に行き詰まり、会社を倒産させることを決めたとき、また再起を目指すという人は少なくありません。
その際には新しい会社に、倒産させた会社と同じ商号を利用したいと考えることもあるでしょう。
実際には、倒産させた会社と同じ商号を新しい会社に使うのは可能なのでしょうか?この記事では、「新しい会社に倒産した会社と同じ商号が使えるのか」について解説していきます。
Contents
倒産した会社の商号を新しい会社で使用することには多くの問題点がある
結論としては、倒産した会社の商号を新しい会社で使用することは、法律上可能なことです。しかし、可能であっても多くのデメリットが存在しており、お勧めはできません。
ここからは、倒産した会社の商号を新しい会社で使用するデメリットについて説明していきます。
国税局や税務署から同じ会社としてみなされる
倒産した会社と同じ商号で新しい会社を設立し、さらに住所や代表者名が同じとなると、国税局や税務署は「倒産した会社と同じ会社」と認識してしまう可能性があります。
その場合は滞納税や、滞納年金の請求が来る恐れがあるでしょう。
債権者から負債の支払いを求められることがある
新しい会社であっても同じ商号を選んでしまうと「商号の続用」を選択したこととなり、会社法では事実上の債務の負担が定められています。
そのため、倒産した会社の債権者から負債の支払いを求められる可能性もあるでしょう。
倒産した会社と同じ名前では縁起が悪い
こちらは自社だけでなく取引先に感じられる点でもあるのですが、やはり倒産した会社の商号は縁起が悪いと思われることが多いです。
自分が気にしていなくても、周囲の人も同じとは限りませんので注意してください。
似たような商号でも意味がない
先ほど、倒産した会社と同じ商号で新しい会社を設立するデメリットをお伝えいたしましたが、気に入っている商号だから少しだけ内容を変えれば問題ないのでは?と考える人もいるようです。
しかし、類似した商号では上記のデメリットを避けられるわけではありませんので、気をつけましょう。
事業譲渡での商号について
商号を変えないまま事業の譲渡などが行われた場合、先ほどの考えでは商号続用となり、買収会社は被買収会社の負債を引き継ぐ形になってしまいます。
では、事業譲渡が行われるときには、必ず被買収会社の負債が買収会社に引き継がれるのでしょうか?多くの場合は譲渡前の商号が譲渡後にも活用されることがある、事業譲渡時の商号について説明していきます。
商号続用責任の免責登記
商号を続用しても被買収会社の負債を買収会社が引き継がないための方法もあります。商業登記簿謄本にその旨を記載すれば良いのです。これにより、買収会社は被買収会社の負債を免責されることになります。
事業譲渡前には商号変更も実施される
商号続用責任の免責登記を行えば、買収会社は被買収会社の負債を引き継がずに済むということをお伝えしましたが、実務上は事業譲渡前に被買収会社が商号変更を行うことが多いようです。
こうすることで事業譲渡日に二つの会社の称号が異なるため、商号続用ではないと認められやすくなるのです。
まとめ:会社を倒産後に同じ商号で再起することは可能?
会社を倒産したときに、新しい会社も同じ称号を利用することは可能であることがわかりましたが、負債の続投とみなされてしまうデメリットが非常に高く、負債をリセットした意味がなくなってしまいます。
この記事でもお伝えしたように、可能な限り会社を再起する際には商号を新しいものにしましょう。
おすすめ関連記事
40代で会社が倒産!幸せに生きるための再起の実録と方法!
会社を倒産させる経営者が自己破産せずに再起を図る方法はあるのか?
会社を倒産させた社長の再起は可能か?考え方のまとめ!