自己破産について調べていると、「破産管財人」という言葉を目にするかと思います。
どういった役割を持つ人なのか?自己破産すると必ず選任されるのか?など、疑問に思う方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、そんな破産管財人について具体的にどのような手続を行う専門家なのか?また、どのような場合に選任されて、選任される割合はどれぐらいなのか?などを解説していきます。
破産管財人の役割は?
破産管財人とは、破産手続において破産者の財産を換価処分し、債権者への弁済や配当に充てる役割を担っている専門家です。
分かりやすく言えば、「破産手続きを行う際、裁判所をサポートする弁護士」と言えるでしょう。
破産管財人は裁判所から選任を受けて破産者の財産を調査し、破産者が所有する「自由財産」以外の財産を処分していきます。
「自由財産」とは、破産者の財産のうち破産財団に属さないものを指しており、破産者の手元に残る必要最低限の財産(ベッドなどの生活必需品など)という意味合いを持っています。
また、破産者の免責に関わる判断を行うための調査も行っており、一連の調査において破産者は破産管財人に対して全面的な協力が求められます。
自己破産で破産管財人が選任されるケースとは
破産管財人は、全ての破産手続において選任されるわけではありません。
破産手続には大きく分けて「同時廃止」と「管財事件」の2つがありますが、破産管財人が選任されるのは管財事件のみです。
同時廃止とは、破産手続開始時点で破産者に債権者への配当などに充てるべき財産が不足していると認められ、破産手続が終結させられるケースを指します。
破産者に換価処分すべき財産の所有が最初から認められないため、破産管財人も選任されることはありません。
具体的な基準として、以下のようなケースでは破産管財人が選任されることはありません。
- 破産者の財産が20万円以内である
- ギャンブルや浪費などの免責不許可事由が認められない
- 財産を隠している疑いがない
一方「管財事件」の場合、破産者に換価処分すべき財産があると認められるため、裁判所から破産管財人が選任され、財産の調査や処分、免責許可事由の調査が行われます。
破産者は破産管財人の調査に対して全面的に協力する必要があり、不誠実な回答を行ってしまうと免責許可の決定において不利に働きます。
破産手続において破産管財人が選任された場合には、必ず真実を述べるようにしましょう。
自己破産で破産管財人が選任される割合は?
破産手続では、破産者が換価処分すべき財産を所有しておらず、同時廃止となるケースが多いです。
割合でいうと同時廃止は全体の90%近くを占めており、管財事件に関しては10%程度と低くなっています。
そもそも、破産する時点で財産を持っていないことが前提になるので、この割合にも納得がいくのではないでしょうか。
同時廃止では破産管財人は選任されないため、多くの自己破産手続において破産管財人が登場することはないと言えるでしょう。
まとめ:破産管財人とは?役割や選任されるケースについてご紹介!
今回は自己破産における破産管財人について解説していきましたが、いかがだったでしょうか?
破産手続において破産者の財産を調査し、換価処分することで債権者への配当に充てる重要な役割を担っていると同時に、免責許可に関する調査も行うため破産者は破産管財人に対して誠実な対応をする必要があります。
ただし、破産管財人は管財事件でしか選任されず、多くのケースで該当する同時廃止では登場しません。
破産手続がどのタイプで行われるかがキーポイントになるので、それぞれの基準について今一度理解しておきましょう。