自己破産を検討している場合、破産手続きによって仕事や普段の生活、人間関係などに影響がないか気になるところかと思います。では、それが個人事業主であった場合は、一般的な自己破産と違いがあるのでしょうか?
ここでは、個人事業主が自己破産した際の家族への影響に注目し、具体例を挙げながら解説していきます。
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一般家庭での自己破産の家族への影響
個人事業主のケースを取り上げる前に、まずは一般的な家庭での自己破産の影響を整理しておきましょう。家族構成や自己破産する人の家庭内での立場、経済状況などによって度合いは変わりますが、次の3つの大きな影響があると考えられます。
財産処分による経済的影響
自己破産においては、所有する財産は借金の返済に充てるために没収されます。自分名義の財産で、なおかつ時価20万円以上のものが対象となります。例外として衣類・家具などの生活必需品や99万円以下の現金、20万円未満の預貯金は除外となり、仕事に必要な品も所持が認められます。
とはいえ、財産の多くを失う可能性があるため、家族への経済的な影響は少なくないものがあるでしょう。
財産処分による生活面での影響
自分名義の財産には、住宅や車も含まれます。そのため、転居によって転職や転校の必要性がでてきたり、車を処分することで日常生活が不便になったりと、自己破産は生活面にも影響する可能性があります。
一方で、介護に必要であるなど、例外的に保有が認められるケースもあります。
信用情報の登録による将来設計への影響
自己破産をすると信用情報の登録によって少なくとも5年は新たな借金ができなくなります。配偶者に収入がなければ、住宅の購入に必要なローンや教育資金の借入なども難しくなるため、子どもの進学といった将来設計も見直す必要性がでてきます。
個人事業主の自己破産による家族への影響
では、個人事業主が自己破産した場合はどのような影響があるのでしょうか?基本的には一般的な自己破産と同じですが、事業に必要な資金の借入があるなど、状況によっては家族にも大きな影響を与えます。
事業に必要な資金を家族から借り入れている場合
個人事業主の場合、事業開始時や経営継続のために必要となった資金を、家族から借り入れるケースはよくあります。自己破産では、家族からの借金も他と同様に免責の対象になるため、自己破産が成立すれば返済の義務がなくなります。
これが同居する家族で生計が同一であれば大して問題になりませんが、仮に配偶者の両親であった場合はどうでしょう。返済しないわけにはいかないと考え、自己破産の手続き前に少しでも多く返したくなるところです。しかし、特定の相手にだけ返済したり、優先したりする行為は偏頗弁済(へんぱべんさい)という不当な扱いとみなされ、自己破産の手続きに支障をきたす恐れがあるため注意が必要です。
家族が連帯保証人となった借入がある場合
連帯保証人をつけた借入がある場合は、個人事業主が自己破産すれば連帯保証人が代わりに請求されます。この連帯保証人を家族に指定している借金がある場合には、注意が必要です。
連帯保証人への請求は一括返済ですが、交渉によっては分割での支払いも可能です。しかし個人事業主は多額の資金を借りている可能性があり、返済が不可能であれば家族も自己破産の必要性がでてきます。当然ながら、妻名義の財産の財産があったとしても、失う可能性が高くなるでしょう。
また、配偶者もそろって自己破産をしてしまうと、信用情報の登録によって今後の生活に大きな影響がでてきます。ローンや新たな借入、携帯電話などの月賦払いなど、少なくとも5年は夫婦そろって利用できなくなることを念頭においておきましょう。
家族に対して未払いの給与がある場合
個人事業主の場合、家族を従業員として雇うこともよくありますが、自己破産では従業員への未払いの給与は免責にならず、手続き後も支払いの義務が残ります。これは、従業員が家族であっても変わりません。
ただし、未払いの給与を調査する際に、その中身についても厳しく調査されることがあります。労働の実態がない、給与が不相応に高いなどと判断されれば財産隠しの不当行為とみなされて自己破産手続きに影響するだけでなく、詐欺罪に問われる可能性もあることを覚えておきましょう。
自己破産による家族への影響を少なくするには
個人事業主が自己破産による家族への影響を少なくするには、借入は家族を連帯保証人にしないなど、資金が必要になっても家族とは関係ないところで用意する必要があります。財産もある程度は配偶者名義のものにしておくといいでしょう。
ただし、自己破産の直前になって財産の名義変更をしたり、預貯金を動かしたりすると財産隠しにみなされ自己破産が認められなくなる恐れがあります。場合によっては自己破産ではなく任意整理に変更するのも有効ですので、弁護士などの専門家に相談しながら、最善の方法を検討してみてください。
まとめ:自己破産の家族への影響は?個人事業主のケースと注意点を解説!
個人事業主が自己破産すると、家族の生活や財産に影響がある可能性が高くあります。しかし、財産の名義変更などの行為は、財産隠しとも捉えられかねないため、目的が異なったとしても破産手続き前は避けるようにしましょう。
個人事業主は扱う金額も大きい傾向にあるため、判断に迷う場合は弁護士などに相談するのがおすすめです。
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