「経済的に厳しく、自己破産したい」そんなときに気になるのが自己破産に必要な費用です。経済的に厳しい状況で、破産手続費用の支払いはできるのでしょうか?
ここでは、自己破産手続の費用と相場、費用負担が困難な場合の解決策を紹介します。
Contents
自己破産の方法と費用相場
自己破産には2つの手続方法があり、どちらになるかによって必要な費用も大きく変わります。まずは、どのような破産手続があるのか確認してみましょう。
自己破産の方法
自己破産の手続には、2つの方法があり、手続によって破産手続にかかる費用や時間が大きく変わってきます。
- 管財事件…通常おこなわれる破産手続の方法
- 同時廃止事件…破産手続と同時に手続を終わらせる方法
破産手続は、手続を開始すると破産人の財産などを調査して換価する破産管財人が裁判所によって選定されます。しかし、手続を開始する前に財産を保有していないことがあきらかであれば、破産管財人を選出する必要性はありません。そこで、破産手続を開始と同時に終わらせるという手法を取ります。
同時廃止は、財産の調査などもせずに終わらせるため、自己破産に必要な費用もほとんどかかりません。そのため、自己破産の費用を大幅に軽減できます。
自己破産で必要な費用と相場
自己破産の費用には、裁判所に支払うものと弁護士を雇った場合に発生する弁護士費用があります。費用の一覧と相場は次の通りです。
裁判所に支払う費用
申立手数料(印紙代)…1500円
郵券(切手代)…1000~1万円程
官報公告量…1~1,5万円程
予納金…後述
弁護士に支払う費用
相談料…0~1万円
着手金…20~50万円
成功報酬…0~50万円
その他に実費
裁判所に支払う費用の中では予納金の占める割合が高く、さらに高額です。しかし、自己破産の手続次第では大きく負担を軽減できる可能性もあります。また、裁判所に支払う費用は裁判所によって多少の違いがあるのも特徴です。
弁護士費用は各項目とも幅があり、これは、弁護士費用が各自で好きなように設定できるのと、料金体系がそれぞれ異なる点に起因します。
裁判所に支払う費用の内訳と破産手続ごとの相場
次は裁判所に支払う費用についてより詳しくみてみましょう。裁判所に支払う費用は、主に実費と予納金からできています。
裁判所に支払う費用の内訳
裁判所に支払う費用のうち、申立手数料や郵券は申し立てをする裁判所や債権者の数などによって変動はしますが、さほど大きな違いはありません。郵券は債権者への送付に使用するために必要になります。
金額が大きく、自己破産の手続によって大きな差ができるのが予納金です。予納金とは、破産手続を実際に進める破産管財人への報酬のために用意されるもので、破産手続前に最低限の報酬を確保する意味合いがあります。
破産手続の種類と予納金の額
破産手続の種類による予納金の額は次のようになります。
管財事件…50万円~
少額管財…20万円~
同時廃止…1~3万円前後
本来、破産管財人への報酬は、破産手続が終了してから裁判所が破産管財人の働きに応じて金額を決定します。破産手続は、その種類によって財産の管理・調査、換価などの仕事量も変わるため、予納金にもその違いが反映されています。その結果、上記のような差ができるわけです。
自己破産手続の費用が足りない!相場よりも安く済ませる方法
自己破産するための費用が足りない場合はどうしたらいいのでしょうか?もっとも効果的なのは弁護士を雇わずに自分で申し立てる方法ですが、専門知識がない中で実行するのは難しいものがあります。より現実的なのは、次の3つの方法でしょう。
分割払い・後払いに対応している弁護士を探す
弁護士に支払う費用は着手金のように一括が基本ですが、分割払いや後払いに対応しているところも多くあります。自己破産の手続は経済的に状況と考えられるため、支払いの相談に応じてくれる弁護士事務所もあります。
また、弁護士費用を抑えようと思うと「相談料無料」「着手金ゼロ」などの文言に目が向きますが、費用の総額を聞いたうえで判断することも必要です。安さだけでなく弁護士の質や信用性のチェックも忘れないようにしてください。
司法書士に依頼する
弁護士と同じ専門家として司法書士に依頼する方法もあります。弁護士と相場を比較してすると5~10万円ほど低い料金になっているため、費用負担をかなり軽減できます。
しかし、注意点もあります。司法書士には活動制限があり、弁護士ほど多くの手続代行ができません。自己破産においては主な業務は申立書の作成になり、その他の業務は自分でこなす必要があります。費用が安くなった分、自分の手間が増えると覚悟しましょう。
法テラスを利用する
法テラスは正式名称を「日本司法支援センター」といい、全国各地に構えています。国民への法律に関する支援を目的とし、破産手続の際には弁護士の紹介などをおこなっています。
法テラスは弁護士を自分で選べませんが、費用の立て替え制度があり、分割での返済が可能です。
まとめ:自己破産の費用の相場はいくら?費用不足の場合の解決策も!
自己破産の手続にかかる費用は破産手続の種類によって変わり、財産がない場合は費用負担も少なくなります。
一方で財産がある場合などは裁判所に支払う費用だけでも50万円を超えます。しかし、費用負担が重い場合でも、弁護士費用の分割や法テラスの活用などによって負担の軽減は図れます。一日も早い生活の立て直しのために、一度専門家に相談してはいかがでしょうか?
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