会社や個人が自己破産を裁判所に申請して免責が認められると、借金等の債務責任から外れることになります。
しかし、申請すれば必ず免責が得られるというわけではなく、定められた事由に該当する場合は、免責が認められません。
今回は、免責不許可事由の中で「破産法上の義務に違反する行為」について解説します。
破産法上の義務に違反する行為とは?
冒頭で触れた通り自己破産を申請しても、免責不許可事由があると判断されれば、免責を受けることはできません。
免責不許可事由は、「破産債権者を害する行為」「破産法上の義務に違反する行為」「免責制度に関わる政策的類型」の3つに分類されます。
ここでは、破産法上の義務に違反する行為について説明します。
破産申請をした人は、破産に関する事情を説明する義務があるとされていますが、これらの手続きに協力しないことを破産法上の義務に違反する行為といいます。
この事由はさらに、「裁判所への説明拒絶・虚偽説明」「管財業務妨害行為」「破産法上の義務違反」の三つの項目がありますので、それぞれについてみていきます。
裁判所への説明拒絶・虚偽説明とは
破産法 第252条第1項第8号には、「破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、又は虚偽の説明をしたこと」と定められています。
破産申請を受けた裁判所は、申請人に対して破産審尋などの調査を行います。申請人はこの調査に対して偽りなく答える義務がありますが、説明を拒んだりあるいは、嘘をついた場合などは免責不許可事由と判断され、免責は認められません。
なお、免責不許可事由になり得る裁判所の調査には、免責についての調査だけでなく破産についての調査も含まれますので注意しましょう。
管財業務妨害行為とは
破産法 第252条第1項第9号には、「不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理又は保全管理人代理の職務を妨害したこと」とあります。
破産管財人とは、裁判所からの選任を受けて免責判断の調査や、破産手続きの際の財産の処分や配当を行う職務を担う人をいいます。
この破産管財人などが、職務を遂行しようとするのに対して、暴力をふるったり、脅かすようなことを言って妨害した場合などは、免責の不許可事由とされます。
破産管財人の指示に従わないなども、この事由に該当すると判断されることがありますので、ご留意ください。
破産法上の義務違反行為とは
破産法 第252条第1項第11号には、「第40条第1項第1号、第41条又は第250条第2項に規定する義務その他この法律に定める義務に違反したこと」と記されています。
自己破産手続きをした人が、債権者集会などで破産についてしかるべき説明をしなかった場合や、裁判所に対して自己財産についての書類などを開示したり提出したりしなかったとき、破産についての必要な事情を説明しなかったときなどは、免責不許可事項にあたると判断されます。
自己破産を申請するときには、動産、不動産を問わずその財産について開示する義務があり、破産に関する説明を求められたならそれに従わなければなりません。
まとめ:自己破産における免責不許可事由!破産法上の義務に違反する行為とは
いかがでしたか?今回は、自己破産の免責不許可事由である「破産法上の義務に違反する行為」について説明しました。
自己破産を申請し、免責を得たいのであれば定められた義務を果たすよう求められます。
今回の自己破産についての説明や調査に対する回答は、破産申請者の義務ですので、拒否や拒絶はもちろん、隠したり嘘をつけば免責不許可事由とされ、免責は認められません。
破産申請をするのであれば、滞りなく手続きが進められるよう義務についても理解しておく必要があるでしょう。