自己破産では財産の処分が必要ですが、住宅の扱いはどうなるのでしょうか?また、家族の住宅ローン審査に影響することはないのでしょうか?
ここでは、自己破産による住宅や住宅ローン、家族のローン申し込みなどについての影響について解説していきます。債務整理後も住宅を所持するための方法についても紹介しますので是非ご覧ください。
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自己破産の住宅や住宅ローンへの影響は?5つの事例から解説
自己破産では本人の財産は処分の対象となるため、資産価値の大きい住宅は大きな影響を受けます。では、住宅ローンの申し込みと重なった場合の審査はどうなるのでしょうか?
5つのケースから自己破産の住宅への影響を考えてみましょう。
ケース①住宅ローンの申し込みをしている場合
自己破産の認定と住宅ローン審査のタイミングによって手続きの流れは変わりますが、どちらにせよ自己破産すれば住宅ローンの審査は通らず、住宅ローンが成立してから自己破産しても住宅は財産一部として処分の対象になります。
自己破産後に住宅ローンを利用して住宅を購入するには、信用情報が回復するのを待たなければなりません。その期間は5年~10年が目安になります。
ケース②自分名義の住宅や住宅ローンがある場合
自己破産は、本人が所有する財産を処分して借金を帳消しにしてもらう手続きのため、本人名義の住宅であれば処分の対象になります。住宅ローンを支払っている途中であれば、住宅がなくなることで住宅ローンの支払い義務もなくなりますが、どちらにしても引っ越さなければなりません。
また、家具や家電などの生活に必要なものは最低限手元に残りますが、時価20万円以上の品は処分の対象になり、住宅を失うことで転居の必要性も出てきます。自己破産は、同居する家族にも大きな影響を与えるといえるでしょう。
ケース③住宅や住宅ローンの名義が他の家族の場合
では、名義が自己破産する本人ではなく家族だった場合はどうなるのでしょうか?自己破産は本人の財産のみが処分の対象になるため、同居していても名義が違う人であれば処分の対象にはなりません。住宅ローンを支払っている段階でも同じで、自己破産が影響することはありません。
しかし、自己破産の直前に名義を変更するのは危険です。他に目的があったとしても財産隠しとみなされる可能性があるため注意しましょう。
ケース④住宅や住宅ローンの名義人である家族が連帯保証人の借金がある場合
住宅や住宅ローンが自己破産する本人ではなく別の家族であった場合でも、その家族が連帯保証人になっている借金がある場合は注意が必要です。自己破産すると本人の債務は帳消しになっても、連帯保証人の返済義務はなくならないからです。
連帯保証人になった家族に返済能力がない場合は、結果として住宅を手放さなければならなくなる可能性があります。それにより、連鎖的に自己破産する事例も少なくありません。
同居する家族でなければ住まいはそのまま維持できるかもしれませんが、連帯保証人となっている家族には、自己破産の手続き前に相談するようにしましょう。
ケース⑤住宅の時価が20万円未満である場合
自己破産では本人の財産すべてが処分の対象となりますが、一部例外があります。生活に必要な現金や生活必需品、仕事に使用するものなどの所持が認められていて、住宅も時価20万円未満であれば処分の対象外となります。他にもやむを得ない事情があると判断されれば例外として認められる可能性があります。
自己破産で住宅を手放したくない場合の対応策とは?
自己破産で住宅を手放す可能性が高い方の中にも、どうしても手放したくないという人はいるのではないでしょうか?例えば高齢の家族がいて転居が困難なケースもあるでしょう。
裁判所が住宅を例外として認めるかわからないため、自己破産の手続きを進めてもいいか迷うところです。このように「債務の返済が苦しいが住宅は手放したくない」という場合は、自己破産ではなく任意整理という選択肢もあります。
任意整理は自己破産と同じ債務整理の方法の1つで、債権者と交渉して将来支払う利息をカットしたり、返済期間を改めて設定したりすることで借金返済の負担を軽くできます。
また、任意整理は債務整理する借金を指定できるため、住宅や住宅ローンを対象外にすることも可能です。この場合、他の借金は債務整理して住宅や住宅ローン、家族が連帯保証人になっている借金については対象から外せば、住宅を手放さずに返済の負担を軽くできます。
ただし、債務の総額や収入によっては任意整理が難しいケースもあります。素人では判断が難しいため、弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。
家族の住宅ローン審査への影響は?
では、自己破産後に家族が住宅ローン申し込む場合、審査に影響することはないのでしょうか。
住宅ローンに限らず、すべてのローン審査は本人の信用情報が照会され、そこに他の家族に関するものは掲載されません。自己破産した家族がいたとしても審査に影響しないので安心していいでしょう。
しかし、過去に利用していた金融機関ローンに申し込む場合には注意が必要です。同居する家族であれば住所から自己破産した本人とのつながりが判明し、名義貸しを疑われることがあります。
対応は金融機関ごとに異なるため必ずしも審査に落ちるとは限りませんが、自己破産後に同居家族が住宅ローンを申し込む際は、他の金融機関の利用するのがいいでしょう。
まとめ:自己破産は住宅処分が必須?家族の住宅ローン審査への影響も解説
自己破産は、本人名義の住宅や住宅ローンがある場合は、転居など家族の生活に大きく影響する可能性があります。
一方で、自己破産後に家族がローンを申し込んでも基本的に審査には影響がなく、また住宅を手放したくないならば任意整理という選択肢もあります。
自己破産は家族への影響が気になるものですが、ポイントを押さえればローン審査のように影響を回避できます。弁護士など専門家に相談しながら、ベストな選択を検討してはいかがでしょうか。
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